2021年3月2日に東急東横線付近のビルの仮囲いが倒壊して、電車の運行が完全に停止しました。
これにより東横線は渋谷駅と武蔵小杉駅の間で運転を見合わせることになり、翌日の2021年3月3日の運行も不透明な状態です。
足場の倒壊は台風などの際に大きな倒壊事故を発生しそのたびに大きなニュースになりますが、一向になくなる気配がありません。
今回のニュースから学ぶべきことはなにか?同じ用に大きな工事を担当してきた私の視点から解説していきます。
事故の概要
詳しい事故の内容はYahoo!ニュースなどの方が詳しいですが一部抜粋すると
2日午後10時すぎ、東京・目黒区のビルの建設工事現場で仮囲いが倒壊し、近くを走る東急東横線の線路上の空間に倒れかかりました。
この影響で鉄道の架線などが損傷したため、東横線は渋谷駅と武蔵小杉駅の間で運転を見合わせていましたが、「復旧の見通しが立たない」として、東急電鉄は2日の運転を打ち切りました。東急電鉄は復旧作業を続けていますが、3日の運転再開は未定として乗車の前に運行状況を確認するよう利用者に呼びかけています。
Yahoo!ニュースから引用
これだけ見ると原因がよくわかりませんが、その次に原因がはっきりと書いています。
気象庁によりますと、東京都内では2日午後10時前、大田区の羽田で最大瞬間風速23.1メートルの非常に強い風が観測されていて、警視庁は、仮囲いの倒壊は強風が原因とみています。
Yahoo!ニュースから引用
つまり強風により倒壊したということになります。
2021年3月2日は全国的にも大荒れの天気で北海道では大雪などとなっていました。おそらく強風対策を怠ったのが原因です。
足場の倒壊事故はどのくらいあるのか?
足場の倒壊事故というのははっきりいって珍しい事故ではありません。
- 2017年10月:福岡市東区の病院建設現場で足場倒壊
- 2020年7月8日:大阪府柏原市の新庁舎建設現場の足場が倒壊
- 2021年12月17日:小阪第一近鉄ビル解体工事における足場倒壊
と、ほぼ毎年のように足場の倒壊は発生しています。
足場が倒壊する原因の殆どは強風ですが、それでもなぜ毎年のように発生するのでしょうか?
足場が倒壊する原因
足場が倒壊する原因の殆どは強風が原因です。しかし、足場は大体が強固なパイプとジョイント、更には筋交いまでも入れてかなりの強度を誇っています。
その足場が倒壊するのはメッシュシートが原因です。
足場にはメッシュシートと呼ばれるシートがよく張り巡らされています。これは工事の資材や工具などが足場の外へ落ちるのを防ぐのと、内部で塗装工事などをする場合は、塗料が飛散しない目的などに使用されます。
また、手すりや蹴りどめにくくりつけることで完全ではないですが転落防止にもつながるので、メッシュシートは使用されることが多いです。
メッシュシートのたたみ忘れで大きな事故へ!
実はこのメッシュシートはメッシュといえどもシートですが、風を受ければ船の帆のようになります。
この状態で強風を受ければ足場は大きな力を受けることになります。いくらメッシュで穴が空いているといえども、強風の中ではメッシュの網目などないようなものです。
そのため、強風による大きな力に耐えきれずに倒壊します。
対策は簡単たためばいい
メッシュシートによる倒壊事故を防ぐには簡単です。メッシュシートをたためばいいのです。
しかし、多くの足場倒壊の事故を見るとメッシュシートがたたまれないまま使用されており、そのまま強風をモロに受けて倒壊します。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
実際に対策をする現場は一握り
工事現場というのははっきり言って納期との戦いです。強風の時は工事中止と言いながら
- 「このくらいなら作業できるだろ!」
と根拠のない自身を主張する管理職は非常に多いです(そして大体は自分は現場事務所にすらいない)。
そして実際に工事をやり倒壊しなければ
- 「ほらできただろ?」
といいもし事故が起きれば
- 「現場監督がちゃんと判断しないからだ!」
という現場が非常に多いのです。
このような建設現場や工事現場で現場で判断する人間より、納期やお金のことを気にする人間がいる限りこのような事故は無くならないでしょう。
Twitterでの反応
【NHKニュース】 #nhk_news
東急東横線 運転見合わせ続く 工事現場の足場が崩れた影響で:2日夜遅く、東京・目黒区で東急東横線の線路沿いにある工事現場の足場が崩れました。東急電鉄によりますと、この影響で東急東横線は渋谷駅と武蔵小杉駅の間の上下線で3日の始発からも…
www3.nhk.or.jp/news/html/2021… pic.twitter.com/P588jGtT3s— 風bot(@BotSaigai)Tue Mar 02 20:11:13 +0000 2021
東急東横線ほぼ完全に機能停止
いざ、参る
— こぼちゃん(@non_non_enomoto)Tue Mar 02 20:10:23 +0000 2021
RT @busmagiclean: 東急東横線自由が丘から都立大学間で架線トラブル。停電…また巻き込まれた。
先日も自分のいる目の前で架線トラブルがあって電車が60分以上止まった。自転車に乗って回避したけど、今回は乗っているから回避不可。
稀に見るボロい電車に能ったからか自…
— とある。(@toaru_tuiraku)Tue Mar 02 20:07:48 +0000 2021
東急東横線は少なくても昼頃までは運転見合わせの模様。
重機が入れず足場撤去作業が難航しているため。— みちゃ(@michamicha4649)Tue Mar 02 20:07:27 +0000 2021
おはようございます。
東急東横線をご利用される方は、
ご注意下さい‼️
工事現場の足場が強風により線路側に
倒れました。
運転再開の見込みは立って無いみたいです。 twitter.com/maaaaaakunn/st…— 🍍タケノブ 831 Ⓜ︎🧸🍼(@Inx7Q)Tue Mar 02 20:07:23 +0000 2021
東急東横線の足場崩れで今朝も渋谷〜武蔵小杉で運転見合わせ。復旧は朝ラッシュ時間帯には間に合いそうに無いとのこと #nhk #おはよう日本 #tokyu #東急 pic.twitter.com/d68DnHSmyH
— HiRO(@MDB_HiRO)Tue Mar 02 20:05:17 +0000 2021
人的被害がなかったのは不幸中の幸い
今回の事故では幸運にも人的な被害はありませんでしたが、もし足場に人がいたら確実に何らかの被害が出ていたでしょう。
また、走行中の車両と接触すれば大事故につながるか、乗客も内部に閉じ込められるなどの大きな被害になったと予想できます。
建設現場での事故は時には無関係の人々も巻き込む事があるので、道路や線路の近くで行うには大きな配慮が必要です。
足場の倒壊事故は防げる災害!今一度足場の運用について見直そう!
足場の倒壊事故というのは防げる事故です。もちろん組み方に問題があるというのは問題外ですが、足場の組み立ては基本的には技能講習が終了していないと実施できません。
「つり足場(ゴンドラのつり足場を除く。以下同じ。)、張出し足場又は高さが5メートル以上の構造の足場の組立て、解体又は変更の作業」を行う場合は、事業主は足場の組立て等作業主任者技能講習を修了した者のうちから作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮を行わせなければならない。
労働安全衛生法 第14条 施行令第6条第15号より
さらに強風の際は安全第一を考慮して、足場に取り付けたメッシュシートなどの風を受けるものを外すなどの対策を徹底して、事故をなくしていきましょう!
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