プラント配管の継手の一つにネジで接合する継手があります。そのネジの規格が「管用テーパーねじ」と「管用平行ねじ」です。これらの規格は同じような管用と名前がついていることと、慣れないとひと目見ただけではどちらの継ぎ手かよくわかりません。
そのため混同して使用することが多く、間違えると漏れの原因になるため組み合わせなどを間違えないようにすることがあります。
今回はこれら管用ネジの規格の解説と使用上の注意点を解説していきます。
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管用テーパーねじ(Rネジ)
管用テーパーねじはJIS B 0203で規定されてる配管用のネジ接合継手です。その名の通りテーパーがついているので締め込んでいくに従い直径方向の隙間が狭くなり、接合することができます。
しかしいくらテーパーがついているとは言ってもネジであることには変わりはないので、バックラッシュがあります。そのためいくら硬くねじ込んでもそのままでは確実に中の流体漏れます。そのため「シールテープ」のようなものを巻き付ける必要があります。
50A以下(私は32A以下としていますが)では計装空気や冷却水、スチームドレンのラインなどによく使用されます。
用途としては「ねじ部の耐密性を主目的とするねじ」となるので、配管同士の接合は基本的にテーパーネジを使用することとなります。
「シールテープ」
管用平行ネジ(Gネジ)
管用平行ネジはJIS B 0202で規定されている配管用のネジ接合継手です。テーパーネジと違うのは気密性を保つにはかならずガスケットが必要となることです。
用途としては「管、管用部品、流体機器などの接続において、機械的結合を主目的とするねじ」となります。こちらは圧力系の取り付けなどによく使用されます。
テーパーねじと平行ネジの違い
テーパーねじ、平行ネジ共に規格自体が違いますが慣れないとかなりややこしいです。まずは簡単に呼び方などの違いを解説します。
実は旧JISの呼び方もありますが基本的には現在のJISもしくはISO規格で呼ぶべきなので、旧JISは記載していません。また、基本的にテーパーネジ同士はテーパネ自同士、平行ネジ同士は平行ネジ同士での接続となります。
ただし、Rp規格の平行めねじのみは別です。これはテーパーおネジ(R)と組み合わせることができます。
といっても記号で読んでいる人ってあまりみたことがありません・・・。私はなるべく「RcとR組み合わせで!」とか言いますが通じないことが多いので(笑)、「テーパーで!」ということの方が近頃は多いです。
使い分け
テーパーねじと平行ねじの使い分けですが、すでに上記の記載のある通り用途が違います。
- テーパーねじ:「ねじ部の耐密性を主目的とするねじ」。計装空気や冷却水、スチームドレンなどの気密性を必要とする配管同士の接合。
- 平行ねじ:「管、管用部品、流体機器などの接続において、機械的結合を主目的とするねじ」。圧力計や流量計などの流体機器の接続。
となります。
シール方法
こちらも上記に書いていますが、両方ともネジですのでいくら硬く締めてもネジ同士のバックラッシュなどから漏洩します。
- テーパーねじ:「シールテープ」や専用の漏洩防止剤を巻き付けて接合。
- 平行ねじ:ガスケットを使用して結合。
となります。
「シールテープ」
管用テーパーネジの呼び方
管用テーパーねじは少し特殊な呼び方で呼ばれます。配管は基本的に口径、つまり太さで呼ばれますがその呼び方が管用テーパーねじは少し特殊です。
このように分母を8とした時に分子の数字に「ブ」をつけて呼びます。
私も入社した手の時にこの呼び方がわからなくて非常に戸惑いました。
管用テーパーねじの工事上の注意
管用テーパーねじはねじ込むだけで使用することができますが施工方法に注意しないと漏洩や異物混入、さらには分解できなくなるなど大きな問題になります。注意事項としては
これらが上げられます。
「シールテープ」
寸法調整が難しい
ねじ込み次第で長さが微妙に変化するので微妙な寸法調整が非常に難しいです。そのためユニオン継手を利用してシートパッキンの厚さを変えて締め付けるなどの調整が必要となります。
実際はある程度力ずくで締め付けたりして無理やり寸法調整をすることが多いです。ただし、あまりにも長い配管だと大きくずれることがあるので、設計段階で寸法調整できるように途中でねじ込みフランジやユニオン継手などを挟むようにしましょう。
分解できなくなる恐れがある
これもねじ込みなので分解するにはネジを緩めて抜く分のスペースが必要です。そのため途中でねじ込みフランジやユニオン継手を使用して、分解しやすくなるようにすることが必要です。
特にバルブや流体機器、スチームトラップなどの交換が必要になるところは必ずユニオン継手やねじ込みフランジを取り付けておきましょう。これを忘れると延々とねじ込み配管を末端から分解するハメになります。
ちなみに分解できなくなることを「地獄」といいます。
シールテープの巻き量で寸法が変わる
「シールテープ」を巻かないと漏れるからと言って「シールテープ」を何重にも巻く人がいますが、これも良くありません。巻きすぎるとねじ込む量が少なくなり逆に漏れる原因となります。
「シールテープ」は2〜3巻で十分です。しかしその代わり巻いた後にしっかりとネジ山に押し付けて、ずれないようにしましょう。
「シールテープ」
シールテープの巻き方を誤ると異物混入の原因になる
「シールテープ」を巻く際にパイプの端面から1山か2山外してから巻き付けましょう。パイプの端面に合わせるもしくははみ出したまま「シールテープ」を巻くと、配管の中に「シールテープ」が残るので異物混入の原因となります。
また、巻くときは配管の端面から見て時計回りに巻き付けましょう。これを逆に巻いてしまうと配管をねじ込んだ時に「シールテープ」が外れてしまうので注意してください。
また、配管をねじ込んだ後は必要であれば残った「シールテープ」をカッターなどで除去して、メッキ配管であればローバルなどで錆止めをしておきましょう。
「シールテープ」
一度締めたら緩めてはいけない
テーパーねじなので締め込むほどに隙間が狭くなり配管が密閉されていきます。そのため一度閉めてから緩めると漏れの原因となります。
実際は少しくらいであれば緩めてもいいですが・・・基本的には緩めないようにしましょう。
どこまで締めればいいのかわからないことが多い
テーパーネジなのでやろうと思えばどこまでも締まっていきます。これも慣れないとどこまで閉めればいいのかよくわかりません。締め付けが不足すれば漏れるし、締めすぎるとネジ山が破損し外した後に再利用ができなくなります。
管用テーパーねじで問題なのが締め付けが不足して漏れると、簡単に止めることができなくなる可能性があることです。フランジであればフランジボルトを締めればいいですが、管用テーパーネジの場合は締め付けると一方は緩む方向になるからです。
このようなことも考えてねじ込みフランジやユニオンを適時取り付けることが必要です。
締めすぎるとねじが壊れる
上にも書いていますがどこまでねじ込めばいいのかわかりません。やろうと思えばどこまでもねじ込むことができます。かといって調子に乗ってねじ込むとネジ山が破損します。
この時に配管側が破損すればいいですが、もしバルブや流体機器の場合はそれらの機器の交換が必要となります。
そのため、注意して施工する必要があります。
管用平行ねじの注意点
管用平行ねじはパッキンを使用して取り付けます。そのため施工不良は発生しにくいですが、こちらもパッキンの取り付けを誤ると漏れの原因となります。
- 締まり切らずにガスケットが遊ぶ
- テーパーネジと無理やり接合
- 寸法調整が難しい
締まり切らずにガスケットが遊ぶ
平行ネジはガスケットを利用して気密性を保ちますが、ガスケットに当たるまでしっかりと締め切らないとガスケットがあそびます。
こうなると確実に漏れるのでしっかりと締め切ることが必要です。ところがこの平行ネジの厄介なところはたまに海外の機器などを利用すると、このねじ込み量が元々不足していてガスケットの厚みなどを変更する必要があるときがあります。
この辺りはしっかりと確認しましょう。
テーパーネジと無理やり接合
基本的に管用テーパーねじと管用平行ねじを混同することはできません。混同すると漏れの原因となるので混同はしないようにしましょう。
とは言いつつも、私も管用平行ネジの圧力計にシールテープ巻きまくって、管用テーパーねじのソケットに無理やり取り付けたことは(何回も)あります。
意外と漏れないので結構やってしまうんですが、なるべくきちんと変換継手を利用することをお勧めします。
寸法調整が難しい
こちらもネジであるので仕方ないですが、寸法調整が難しいです。同様にこちらも分解しにくくなることがあるので、必ず地獄にならないように気をつけましょう。
図面を書くとき、購入するときは注意!
管用テーパーねじと管用平行ねじは図面上などではしっかりと記載しないと、間違って購入したり施工したりする可能性があります。
そのため図面上では管用テーパーねじなのか、管用平行ねじなのかしっかりと記載する必要があります。バルブや流体機器などを購入する時もしっかりと指示しないと違う継手が届くこともあります。
特に圧力計などは平行ネジで購入されることが多いので、購入の際にはしっかりと指示をすることが必要です。
まとめ
管用テーパーねじと管用平行ねじはどちらも配管や機器の接合に使われますが、混同して使用するとトラブルの原因となります。
また、溶接なども必要ないので幅広く使われますが施工の際に注意しないと、分解できなくなったり異物混入の原因となったりします。
使用上の注意点などをしっかりと理解して使用するようにしましょう。
「シールテープ」
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