みなさんこんにちは、プラントエンジニアのヤンです。
圧力容器はその名の通り大気圧以外の圧力を保持する設備となります。
重要なのは必ずしもそれが大気圧以上というわけではないことです。時には大気圧未満の圧力を保持するために使われます。
そして、時にはその両方の性能が求められます。
その為、設計を誤れば内圧に耐え切れずに破裂したり、外圧に耐え切れずに圧壊することもあるので正確な設計が必要です。
ここではその圧力容器の強度計算について解説します。
なお、「解説はどうでもいい!俺は計算がしたいんだ!」という方はこちらから計算シートをダウンロードできます。
実際の圧力容器の設計圧力の考え方は「【プラント設計の基礎】圧力容器の設計圧力の考え方【設計圧力、許容圧力、常用圧力】」を参考にしてください。
近頃は転職サイトも非常に多いですが”エンジニア”向けの転職プラットフォームはあるのに、”プラントエンジニア”に特化したものはありませんでした。その為、総合転職サイトで求人を探してもなかなか見つかりにくい状況ですよね?そこでおすすめなのが「プラント特区」です。”プラント業界専門の転職求人プラットフォーム”ですのできっとあなたに合った求人が見つかるはずです。
動画でも解説しています!
第一種、第二種ともに「圧力容器構造規格の解説」を購入しましょう
まず、圧力容器を設計するのであれば圧力容器構造規格の解説を購入しましょう。強度計算だけでなく引用規格や解説も備わっているので、圧力容器に関わるのであれば必ず1冊持つべき本です。
そして、結構隅々まで読んでおきましょう。結構細かなところで「これはいいけどあれはだめ」みたいなところが多いです!
ちなみに私も持っていますが・・・結構古いので買い換えないと。
圧力容器の設計は細かい点が多い
圧力容器の設計は基本的に計算で最適な板厚を求めていくだけですが、細かいところでいろいろ注意点があります。〇〇には溶接はダメとか、△△の場合はいいけど□□だダメとか・・・そんなの全部覚えれません!
私が今まで引っ掛かった(?)細かいところを解説していきます。
わからなかったらボイラー協会に聞く
わからなかったらボイラー協会に聞いてしまいましょう!それが一番早いですが人によってたまにいうことが違う・・・というか言葉だけじゃ伝わらないので
- 圧力容器構造規格の解説の中でのわからない場所
- 実際の図面
の二つがあると確実ですね!
フランジはJIS、ANSI、JPIに適合したフランジを使うこと
基本的にフランジはJIS、ANSI、JPIに適合したフランジを使いましょう。なぜなら下記のような場合は計算を省略できるからです。
- 最高使用圧力が1MPa以下(未満じゃないんだねここ)
- 呼び径が300A以下のフランジに平板を取り付ける
- フランジと平板が同材質
- 平板の板厚≧フランジの板厚
ただし、関係通達の中では「JIS」としか記載がないのでもしかしたらJISだけかもしれませんが。
私はこれに気づくまで必死に計算をしていて、ボイラー協会の人から「細かいところまで計算してるけどこれやらなくてもいいんだよ」って言われるまで全く気づきませんでした。
著しく曲げ応力が発生するところは溶接不可
ここも日本語がよくわからないですね!「著しく曲げ応力が発生するところ??」ってなりませんか?
これは「皿型鏡板のすみの丸みの部分には溶接しちゃだめよ!」ってことです!(他の部分でもそうですが)
ならはっきりかいてよ!って言いたいですけど・・・。
これも私の前職では
- 圧力容器の鏡板はとりあえず2:1半だ円形鏡板つかえ
っていう暗黙のルールがありまして、それを知らなかった人が皿型鏡板で設計したら、すみの丸みの部分に溶接していてボイラー協会から怒られました。
まぁ、私と同じ部署の人だったんですけど
それで「そんなことどこに書いてるの!?」っていう話になり、「著しく曲げ応力が発生するところは溶接不可」っていうのが該当するってわかったわけです。
で、その次のページの解説にはっきりと
- 「皿型鏡板のすみの丸みの部分に関台などを溶接によって取り付けてはならない。なお、2:1半だ円形鏡板では、角野丸みの部分はなく、曲げ応力は、分散されるので、構造上やむなく取り付けるスカートや作業台用のラグを取り付けても差し支えない。」
とばっちり書いてありました。
細かいところまで読んでおかないと気づかないところですよね。
溶接継手の効率には注意!
溶接継手は圧力容器の設計に大きくかかわってきます。
しかし、継手効率が100%となるのは全放射線検査を行う必要があります。
ここはあくまでも設計者側にゆだねられています。さらに隅肉溶接やプラグ溶接では継手効率は100%になりません。
意外と忘れがちなので注意してください。
基本的に水圧試験、気圧試験は例外
圧力容器の耐圧試験は水圧で実施することが定めれれています。水は圧縮率が小さいので万が一、継手に欠陥があっても危険性が小さいためです。
しかし、時には中に水を入れるのを適さない時もあります。
そのような場合だけ気圧試験も認められますが、ボイラー協会にその理由を書かねばなりません。
また、できる限り水には防錆剤を入れることをおすすめします。
材料を購入するときも注意!
材料を購入するときも注意が必要です。
とくに圧力容器の一部に配管を使用する際はその製造方法も計算書や図面と合わせる必要があります。
例えばSGPの場合は製造方法が2種類あります。(-B)は黒管で有ることをとくに強調したい時に付ける人がいましたが、JISではあまり関係ない?かもしれません。
SGP(-B)-E:電気抵抗溶接管
SGP(-B)-B:鍛接
この2つは更に強度が違います。そのため、SGP-Eで設計したのにSGP-Bを購入すると
- 材料が違うのでボイラー協会のチェックでNGとなる。
- 図面を書き直しても強度が足りなくなる可能性がある。
という問題が発生します。というか私は一度購買部が間違えて材料購入したこのような目にあったことがあります。
そのため、材料を購入するときも注意しましょう。
実際の設計には「圧力容器の構造と設計」と「トコトンやさしい圧力容器の本」も持っておくのがおすすめ!
実際の設計に際しては「圧力容器構造規格の解説」だけだと、内容を読むのが大変で計算例も少ないので仕事が行いにくいと思います。
ですので私は
この2冊を購入するこの2冊を購入することをおすすめします。
- 計算例が豊富なので自分が設計するタンクに近い計算例から計算することができる。
- わかりにくいJISの解説があるので読み間違いがなくせる。
- 「圧力容器構造規格の解説」よりもはるかに分かりやすいので時間短縮になる。
というメリットがあるので、圧力容器を設計する方には必須の本です!
新版 圧力容器の構造と設計―JIS B 8265及びJIS B 8267 (JIS使い方シリーズ)
内圧を受ける圧力容器の計算は簡単
内圧を受ける圧力容器の計算は簡単です。計算式に当てはめればいいだけですからね。
材料の許容引っ張り応力も、温度によって多少変わりましますが、一覧になっているので簡単です。
外圧を受ける圧力容器の計算はちょっと面倒
それとは別に外圧を受ける場合はちょっとめんどくさいです。
いろいろと係数を計算してから表を読んで値を算出して、さらにそこから計算・・・と結構めんどくさいです。
私はその表の曲線を無理やり数値化して、エクセルで計算できるようにしています。
一応、これで大きな間違いは今までなかったですが、毎回不安なので一応手計算もしています。
計算シートを公開しています
圧力容器の計算に役立ちExcelシートを公開しています。
必ず注意書きをよく読んでからダウンロードをお願いします。
まとめ「圧力容器構造規格の解説」を読み込もう!
第一種圧力容器や第二種圧力容器の設計は非常に細かい決まり事がおおく、さらに文章も時には分かりにくい文章となります。
基本は「圧力容器構造規格の解説」を読み込むことですが、わからなければボイラー協会に直接問い合わせをしてみましょう。
ある程度図面ができてからor政策が進んでからの修正は非常に大変ですので気をつけましょう!
実際の圧力容器の設計圧力の考え方は「【プラント設計の基礎】圧力容器の設計圧力の考え方【設計圧力、許容圧力、常用圧力】」を参考にしてください。
- 圧力容器の設計をするなら「圧力容器構造規格の解説」は必須。
- 不安な点・不明な点はボイラー協会に問い合わせよう。
- フランジはJISなどの規格品を使うと安心。
- 曲げ応力が発生するところは溶接不可→鏡板は2:1半だ円形鏡板を使っておこう。
- 溶接継手の効率には注意!
- 基本的に試験は水圧!気圧で行いたい場合は事前に申請が必要。
- 内圧の設計は簡単。外圧は少し面倒。
新版 圧力容器の構造と設計―JIS B 8265及びJIS B 8267 (JIS使い方シリーズ)
近頃は転職サイトも非常に多いですが”エンジニア”向けの転職プラットフォームはあるのに、”プラントエンジニア”に特化したものはありませんでした。その為、総合転職サイトで求人を探してもなかなか見つかりにくい状況ですよね?そこでおすすめなのが「プラント特区」です。”プラント業界専門の転職求人プラットフォーム”ですのできっとあなたに合った求人が見つかるはずです。
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