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【プラント設計の基礎】圧力容器の安全対策。安全弁、ラプチャーディスクって?

2019年4月4日

工業地帯を見渡すと、工場、化学工場、石油精製所の複合施設があり、それぞれが巨大なパイプとタンクからなる大きなプラントとなっています。

僕のようなプラントエンジニアはそのような工業地帯の光景が非常に大好きですが、皆さんはどうでしょうか?そしてその中には何台もの圧力容器があることがわかります。

以前、タンクが破裂する程度まで内部の圧力が高まると、危険なミサイルのような状態にあることを説明しました。

化学プラントや石油プラントで使用されている圧力容器が破損した場合には、非常に大きなの爆発、蒸気、および化学物質が周囲に放出されるかを用意に想像できます。

このような圧力容器の安全対策をもう少し詳しく見てみましょう。

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なぜ安全装置が必要なのか?

圧力容器というのはその名の通り圧力を保持するので、事故が発生した場合は大きな被害に繋がる恐れがあります。

特に運転操作の誤操作、それによる温度や圧力の異常上昇・降下、流体の閉塞などが起こると事故が発生する可能性が大きくなります。

そのため、圧力容器内部の許容圧力が許容値を超えた場合に直ちにその圧力を降下させる必要があります。そのために用いられるのが安全弁がラプチャーディスクなどになります。

圧力容器に使用される安全装置の種類

圧力容器に使用される安全装置としては安全弁、ラプチャーディスク、可溶栓及び自動圧力制御装置があります。

これらはどれも一長一短なので基本的には複数組み合わせて、どれか一つが不具合を起こしても別の機器でカバーできるようにする必要があります。

安全弁

まず基本的な安全装置は安全弁です。一般的にガスと蒸気の過剰圧力を軽減するために使用されます。基本的には圧力容器の上部に取り付けられています。

安全弁の基本的な構造は、バルブ本体の強力なバネがバルブを押し下げ、容器内に通常の圧力がある場合は閉じたままにするように設計されています。

圧力が安全でないレベルまで上昇し始めると、スプリングがその圧力に負けバルブが開き始めます。バルブが開き、加圧容器の内容物が放出されます。

安全弁の利点
  • 一度作動しても圧力が許容圧力未満になればバネの力で弁が閉じるので再利用できる。

 

安全弁の欠点
  • 一度作動すると作動圧力が変化する場合がある。
  • 弁座が摩耗すると弁座漏れが発生する。
  • 年に1回程度は作動圧力を確認する必要がある。

 

ラプチャーディスク(破裂版)

もう一つの安全対策はラプチャーディスクと呼ばれる破裂版を使用することです。

これは実際には意図的に弱い部分を作って言うことになります。

圧力容器に組み込まれており、圧力が上昇し始めたときに破損するように設計されています。

実際、このディスクは、容器自体が破損する圧力よりもわずかに低い圧力で破損するように設計されています。

ディスクは通常配管内に配置されその配管は容器に接続されています。ディスクが過圧状態で破裂した場合、加圧容器の内容物は安全に排気管から放出されます。

ラプチャーディスクを使用する利点は、大量の加圧物質を非常に迅速に安全に放出するように作られていることです。

不利な点は、一回破裂したらもう使えないということです。すなわち、何度もその機能を果たすことができる安全弁とは異なり、破裂板はその仕事をすると捨てるしかありません。

ラプチャーディスクは一般的に非常に大きな規模のプラントで使用されるので、一回破裂したら交換してからプラントを再度立ち上げることになります。

ラプチャーディスクの利点
  • 構造が単純。
  • 内容物を放出させ圧力を降下させる時間が短い。
  • 使用方法が簡単。
  • ライニングができるので腐食性流体にも使用できる。

 

ラプチャーディスクの欠点
  • 一度作動すると吹き止まることがないので交換する必要がある。
  • 定期的に交換する必要がある。

 

自動圧力制御装置

これは圧力容器に圧力センサーを取り付け、圧力に応じて流入量を制御するものになります。

例えば圧縮機の出口側に圧力計を取り付け、圧縮機の吐出ガスを吸入側に戻す方法などです。

自動圧力制御装置の利点
  • 外部にガスを放出させる心配がない。
  • 異常上昇の場合はプラントの自動停止などで事故が発生する前に対応することができる。

 

自動圧力制御装置の欠点
  • 圧力センサーに異常が起きると意味をなさない。
  • ソフト的に問題がないかのチェックが重要となる。
  • 設定を誤ると意味がなくなる。
  • 圧縮機の吐出を全量吸い込みに側に戻すことができるような設計が必要となる。

 

その他の安全対策

さらにもう一つの安全対策として、通常、加圧容器内の温度があるレベルを超えて上昇した場合に溶融する金属でできた、可融栓です。

栓が溶けて、過剰な圧力が開口部を通して放出されます。

これらは機関車ボイラーや圧縮ガスボンベでよく使われます。ラプチャーディスクと同様に、可溶栓は一度しか使えないので、作業が終わったら交換する必要があります。

安全装置の選定方法

安全装置の選定方法は以下のようになります。

安全装置の選定方法
  • 気体の圧力上昇を防止する場合は安全弁や自動圧力制御装置。
  • 非常に急激な圧力上昇や反応生成物の性状などにより安全弁が不適当な場合はラプチャーディスクや自動圧力制御装置
  • ポンプや配管内の液体の圧力上昇を防止する場合は安全弁や自動圧力制御装置

重要なのは一つの安全装置だけで対策をしないということです。安全装置も不具合が発生しないとは限らないので、複数の安全装置を組み合わせましょう。

圧力容器の事故事例

圧力容器には安全弁やラプチャーディスクのような安全装置がついていますので、本来であれば大きな事故は起こりません。

しかし、不適切な使用により事故が起きています。その有名なのが液化窒素貯槽が破裂した事故でしょう。

この事故では安全弁の元弁が閉じられていたために、液化窒素貯槽内部の液化窒素が外部からの熱の入熱で蒸発し圧力が上昇し続けた結果、破裂しました。

本来であれば安全弁やラプチャーディスクで保護されているはずが、元弁が閉じられているので意味をなしていなかったということになります。

詳しくは「安全弁元弁の閉止によって液化窒素貯槽が破裂」をご参考ください。非常に有名な事故です。

安全弁やラプチャーディスクに元弁はいるのか?

安全弁やラプチャーディスクに元弁はいるのでしょうか?元弁をつけることでメリットとデメリットが存在します。

利点

稼働中でも安全弁やラプチャーディスクの交換を行うことができる。

 

欠点

元弁を閉じたまま使用すると大きな事故につながる。

以上のようなメリットがあります。やはり24時間365日動いている工場としては、元弁をつけていつでもメンテや交換できるようにしておきたいですね。

しかし、「安全弁元弁の閉止によって液化窒素貯槽が破裂」という重大事故も発生しているので、南京錠を取り付けておくなどの対策が必要です。

まとめ

圧力容器の安全対策はいろいろと種類があります。

基本的には安全弁ですがどれも一長一短です。使用する流体の性状や圧力、万が一の際にどの程度危険かを総合的に判断して安全対策を施しましょう。

また、安全対策は1つだけでなく複数設置すると効果的です。

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