ポンプについて二回ほど簡単に記事を書いていますが、内容としてはあまりにも簡単なので補足事項としてもう少し詳しく書いていきます。
特に容積式と遠心式の違いや、運転特性などを理解せずに使用すると、思わぬ事故につながる恐れがあるのでよく理解する必要があります。
それぞれの特徴、動作原理、適用範囲、運転特性を深く掘り下げて解説します。
近頃は転職サイトも非常に多いですが”エンジニア”向けの転職プラットフォームはあるのに、”プラントエンジニア”に特化したものはありませんでした。その為、総合転職サイトで求人を探してもなかなか見つかりにくい状況ですよね?そこでおすすめなのが「プラント特区」です。”プラント業界専門の転職求人プラットフォーム”ですのできっとあなたに合った求人が見つかるはずです。
ポンプとは?
ポンプとは液体を一箇所から別の箇所へ移送するための機械です。ポンプはそのサイズ、機能、および動作原理によって広範囲にわたる用途に使用することが可能であり、産業用大型ポンプから精密な医療用ポンプまで幅広い種類があります。
産業界ではポンプは不可欠な要素であり、特に工場や化学プラントでは液体の循環、輸送のために中心的な役割を果たしています。そのため、工場や化学プラントでポンプが全く無い、全く使っていないというところはないと言っても過言では無いです。
ポンプの設計と選定はその用途に大きく依存します。たとえば化学的に危険な液体(例えば塩酸などの酸性リ流体や苛性ソーダなどの強アルカリ)を取り扱う場合、流体の清浄に適した材料で作られたポンプが必要になります。また、高粘度の液体を移送する場合は遠心式ポンプではなく容積式を選定する必要があります。
このようにポンプは工場やプラントを構成する基本的な要素であり、その設計と選定はプラントの設計と運用の重要な部分を占めています。適切なポンプの選択と運用は、効率的で安全な工場やプラント運転に非常に重要です。
ポンプの分類
ポンプは内部で液体に圧力を加えることによって流体を輸送しますが、この圧力を生成する方法について大きく二種類に分けられます。容積式ポンプと遠心式ポンプです。これらはプラントや工場で広く使用されています。
これらのポンプを選定する際には、液体の性質(粘性、化学的特性、スラリーかどうか?)、必要な流量と圧力(圧力損失)、および制御方法などを考慮する必要があります。また、始動時のバルブ操作やプロセス制御では、それぞれのポンプの特性に応じた注意が必要です。
特に、容積式ポンプでは過剰な圧力が機器の損傷につながるため、適切な圧力制御が重要です。一方、遠心式ポンプでは空運転やキャビテーションに注意し、効率的な運転を確保するためには適切な流量と圧力の維持が必要です。
プラントエンジニアとしてこれらのポンプの特性を理解し、適切な選定と運用が効率的かつ安全なプラント設計でとても重要です。
揚程と吐出圧
揚程と吐出圧はポンプの基本的な性能指標でありポンプの選定や運用において重要です。これらの用語はしばしば混同されがちですが、それぞれ異なる側面を示しています。
吐出圧はポンプが発生させる圧力を指し、単位は通常メガパスカル(MPa)などで表されます。この圧力はポンプが液体を配管を通して移動させるために、克服しなければならない抵抗(圧力損失)に関連しています。
一方、揚程はポンプが液体を持ち上げることができる最大の垂直距離を示し、通常メートル(m)で表されます。基本的な換算として10メートルの揚程は約0.1MPaの圧力に相当します。ただし、この換算は水の密度を基準としています。液体の密度が水と異なる場合揚程は密度に応じて変化します。
ポンプのタイプによって揚程と吐出圧の重要性は異なります。遠心ポンプは主に揚程を重視し、容積式ポンプは吐出圧にフォーカスしていることが一般的です。この違いはそれぞれのポンプの作動原理に由来します。
遠心ポンプは流体の運動エネルギーを圧力エネルギーに変換していますが、容積式ポンプは一定量の流体を閉じ込、圧力を加えることで移動させます。
容積式ポンプの特性
容積式ポンプはその動作原理から、特定の産業用途や流体の種類によって多く使われるポンプとなります。このタイプのポンプにはロータリーポンプ、モーノポンプ、ピストンポンプなどが含まれます。これらはすべて容積変化を利用して液体を吸引し、吐出する機能を持っています。
容積式ポンプの基本原理
容積式ポンプの基本的な原理は内部の容積が変化することにより、液体を吸い込み、押し出すことです。この変化は、内部の動く部品(ピストン、ローター、ギアなど)によって生じます。これらの部品が動くことで、ポンプ内の特定の部分の容積が増減し液体が移動します。
高圧下での運転リスク
容積式ポンプはその構造上吐出側のバルブが閉じている状態での運転はできません。ポンプの内部で生成される圧力が設計限界を超える可能性があるためです。
特にモーターを用いている場合、吐出量はモーターの回転数と関係します。吐出側が閉じられると内部圧力が急激に上昇し、モーターのトリップや最悪の場合ポンプの破損を引き起こす可能性があります。
安全対策の重要性
圧力上昇によるポンプの破損やモータートリップを防ぐためには、圧力上昇を検知する装置、安全弁の設置、さらにはモーターが過負荷時に自動的に停止する安全装置の組み込みが不可欠です。
これらの安全措置はポンプの種類や運用環境に応じて適切に設計される必要があります。
流量制御の方法
容積式ポンプにおける流量制御は基本的にモーターの回転数の調整によって行われます。しかし、ポンプの種類や設計に依存するため使用する流量範囲での運転が可能かどうかを、製造メーカーと十分に相談することが重要です。
このように容積式ポンプはその特性を理解し適切な安全対策を講じることで、効率的かつ安全に運用することが可能です。
遠心式ポンプの特性
遠心式ポンプはインペラを用いて流体に遠心力を加えることによって液体を移送する構造を持ち、その運転特性は容積式ポンプとは異なる重要な側面を持っています。
吐出側を閉じても運転が可能
一般的に、遠心ポンプは吐出側バルブが閉じられた状態でも運転を継続することが可能です。この特性は、ポンプの起動時に特に重要であり、実際には吐出側バルブを閉じた状態で起動することが一般的です。
これはその状態で消費電力が最小になるためです。また、ポンプの停止時にも同様の手順を取ることができます。
流量制御は吐出側バルブでも可能
遠心ポンプの流量制御は吐出側バルブを調整することによっても行うことが可能です。しかし、この方法は効率が低下するため、回転数制御を利用する方がエネルギー損失を減らして効率的に運転することができます。
このため、多くの施設ではインバーターを利用してポンプの回転数を調整しています。遠心ポンプを選定する際は、希望する流量範囲内での運転がメーカーの仕様に適合しているかを確認することが重要です。
ただし、インバーターを使用すると性能曲線が変化するので希望する流量範囲と圧力が、インバーターを使用しても問題ないかメーカーによく確認しましょう。
このように遠心ポンプは容積式ポンプと比較すると簡単に使用することが可能です。しかし、使用方法によっては無駄な電力消費などが発生するのでその特性は十分に理解しておきましょう。
まとめ
プラント設計における容積式ポンプと遠心式ポンプの違いと使い方について詳しく解説しました。ポンプは液体を移送するための重要な機械であり、その種類と特性を理解することは効率的で安全なプラント設計に不可欠です。
容積式ポンプは内部の容積変化を利用して液体を吸引し、吐出するタイプで高粘度の液体や特定の化学的特性を持つ液体に適しています。一方、遠心式ポンプはインペラを用いて流体に遠心力を加えることで液体を移送し、一般的には吐出側バルブが閉じられた状態でも運転が可能です。
ポンプの選定には液体の性質、必要な流量と圧力、制御方法などを考慮する必要があります。また、安全対策や流量制御の方法もポンプの種類によって異なります。
適切なポンプの選択と運用はプラントの効率と安全性を高めるために重要です。プラントエンジニアとしてこれらの知識を活用し、最適なポンプを選定し運用することが求められます。
近頃は転職サイトも非常に多いですが”エンジニア”向けの転職プラットフォームはあるのに、”プラントエンジニア”に特化したものはありませんでした。その為、総合転職サイトで求人を探してもなかなか見つかりにくい状況ですよね?そこでおすすめなのが「プラント特区」です。”プラント業界専門の転職求人プラットフォーム”ですのできっとあなたに合った求人が見つかるはずです。
コメント