【プラント設計の基礎】熱伝達についての基本的な考え方その2:対流熱伝達

現役プラントエンジニアが教えるプラント設計の基礎知識。

学校では教えてくれないことを中心に、実務に直結する内容を書いていきます。今回は「対流熱伝達」について語ります。

今回は熱伝導とは違う伝熱方法について書いていきます。熱力学はこのようにいろいろな考え方があるので難しく感じることもありますが、基礎的な事さえ理解できれば十分です。

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目次

熱伝導とは違う伝熱方法

以前「プラントエンジニアのお勉強【熱伝達についての基本的な考え方その1:伝導】」の記事で、伝導による熱伝達について説明しました。

熱伝導という現象を通じて熱がどのように物質、特に固体を伝わっていくのかを説明しまちあ。伝導は温度勾配によって高温域から低温域へと熱が移動する過程であり、物質の内部で微小な粒子が直接衝突することによって熱エネルギーが伝わっていくプロセスです。この際、熱伝導率という材料特有の物性値が重要な役割を担います。

今回のトピックは、熱伝導とは異なる原理に基づく熱伝達メカニズム、「対流熱伝達」について深掘りしていきます。対流熱伝達は、流体(液体やガス)が物体の表面と相互作用することによって熱が移動する現象です。この場合の流体とは自然対流による空気や水の流れ、または強制対流によるファンやポンプで動かされた流れを指します。

対流熱伝達は、熱が流体の実際の物理的な流れによって運ばれるため、熱伝導と組み合わさって複雑な伝熱現象を生み出します。対流における熱の移動は熱伝達係数というパラメータに大きく依存します。この係数は流体の性質、流れの状態(乱流や層流)、流体の速度、および物体の表面の特性によって変化します。

対流熱伝達とは?:自然対流

対流熱伝達は熱が固体の表面と、その表面を流れる流体(液体または気体)間で交換されるプロセスを指します。熱伝達の基本原理から熱エネルギーは高温領域から低温領域へと移動します。

対流熱伝達には主に二つの類型が存在します:自然対流と強制対流です。

自然対流は例えば暑い夏の日にアスファルトから上昇する熱気のように、外部の機械的な強制力(ファンやポンプ等)の作用なしに生じる流体の流れによって発生します。この現象は、日光によって加熱された地面の近くの冷たい空気が熱を受け取り、その結果として空気の密度が下がり、上昇することで始まります。

この暖かい空気が上昇することでより冷たく密度の高い空気がその場所に移動し、自然な対流サイクルを形成します。

このプロセスはアスファルトの上で見られる蜃気楼を通じて視覚的に確認することが可能です。

伝導熱伝達率ではなく、対流熱伝達率で作業する必要があります。自然対流熱流は次のように計算できます。

  • 熱流=(対流熱伝達率)x(熱が流れている面積)x(温度差)

それでは、どのように計算できるか確かめるために路面の上で考えてみましょう。

暑くて晴れた夏の日にどのくらいの熱が大気に移動しているか知りたいとします。まず面積を決めなければなりません、100メートル×100メートルになるように仮定してみます。

これは、100×100、つまり10,000平方メートルの路面です。

路面の表面温度を測定したところ65°Cですが、路面から離れた地面近くの気温は30°Cと低くなります。さて、どれほどの熱が移動したでしょうか?

最初に参考書などで熱伝達率を調べます。水平面上の静止空気の対流熱伝達率は15 (W/m2K)であることがわかります。

「K」は「ケルビン」で測定された温度を表します。これは、摂氏度または「℃」で測定された温度に273.15を加算することによって計算されます。

したがって、計算を実行するためにすべての単位を一致させるには、路面は

  • 65°C + 273.15 = 338.15K

の温度になります。冷たい空気の温度は

  • 30℃+ 273.15 = 303.15K

です。計算式は次のようになります。

  • 熱流=(15 W / m 2 K)x(10,000 m 2)x(338.15K – 303.15K)= 5,250,000ワット

結果、大気中の空気が路面から500万ワットを超える割合で熱エネルギーを奪うと計算できました。これで、なぜ周辺の田園地帯と比べて都市部は熱いのかが説明できます。

暗いアスファルト舗装と暗い屋根ふき材料の存在はどんな暗い表面のように太陽から熱を吸収します、そしてこの熱の蓄積は自然の対流の過程を通して周囲の大気に熱をどんどん放出します。

対流熱伝達とは?:強制対流

強制対流は流体の流れを引き起こすために外部からの力(例えばファンやポンプ)を必要とする伝熱プロセスです。この強制的な動力によって、熱は流体に効率的に伝達され、流体はさらにその熱を他の場所へ運ぶ役割を果たします。

強制対流の身近な例としてはヘアドライヤーが挙げられます。ここではファンが内蔵された加熱要素から熱を奪い、それを髪の毛に向けて流し乾燥を促進します。

また、自動車の冷却システムではウォーターポンプがこの役割を担います。ポンプはエンジン内の水(冷却液)を循環させエンジンから熱を奪い、それをラジエータを流れる空気に放出することでエンジンの過熱を防ぎます。

強制対流の熱伝達率の計算

強制対流における熱伝達率の計算はナビエ-ストークス方程式や境界層理論といった流体力学の原理と、伝熱の方程式が組み合わさることから非常に複雑です。計算にはレイノルズ数やプラントル数といった無次元数が関係し、具体的な流れの様態(層流、乱流)や流体の物性値(粘性、熱伝導率など)が重要な役割を果たします。

実際の工業アプリケーションでは、これらの計算はコンピュータシミュレーションと数値解析によって行われます。CFD(Computational Fluid Dynamics、計算流体力学)ソフトウェアがしばしば使用され、複雑な幾何学的形状と流れ条件下での熱伝達プロセスをモデル化して解析します。

まとめ

熱伝導とは異なる二つの熱伝達メカニズム、自然対流と強制対流について解説しました。自然対流は外部の力を使わずに流体が動くことで熱が伝わる現象であり、例えば夏の暑い日にアスファルトから上昇する熱気がこれに該当します。

一方、強制対流はファンやポンプなど外部からの力で流体を動かし、熱を伝えるプロセスです。ヘアドライヤーや自動車の冷却システムがこの例です。

これらの熱伝達メカニズムは、熱伝達係数に依存し、その計算は流体力学の原理と伝熱の方程式を組み合わせることで行われます。実際の計算はCFDソフトウェアを用いたコンピュータシミュレーションによって精密に実施されます。この知識は、プラント設計や機械工学の分野で熱管理を行う際に不可欠です。

例題でわかる伝熱工学 – 熱の移動が図でみえる

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