【プラント設計の基礎】熱伝達についての基本的な考え方その1:伝導

現役プラントエンジニアが教えるプラント設計の基礎知識。

学校では教えてくれないことを中心に、実務に直結する内容を書いていきます。今回は「熱伝導」について語ります。

熱伝導は熱力学の中でも非常に初歩的な事です。しかし、熱の伝導は基本的に目に見えないので原理を理解するのが大変です。

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目次

熱伝達の理解は非常に重要

熱伝達はエネルギーの形態である熱が物質間、あるいは物質内を移動する現象です。このプロセスは三つの基本メカニズム—伝導、対流、および放射—によって行われます。

伝導は、分子間のエネルギー伝達により固体内での熱の流れを指します。対流は、液体や気体内での物質の流れにより熱が移動する現象であり、放射は電磁波を介して熱が移動するプロセスです。

エンジニアリングの分野では熱伝達の原理を理解し適用することが、熱管理とエネルギー効率の向上において重要です。例えば、断熱材の設計では熱損失を最小限に抑えるためにこれらの原理を利用します。適切な断熱材の選択と配置は、パイプ、ボイラー、蒸気タービンなどの設備における熱保持を最適化し、それによって全体のエネルギー効率を高めることができます。

一方で、熱伝達の知識は冷却システムの設計にも応用されます。自動車エンジンや電子機器などのシステムでは、過度の熱がシステムのパフォーマンスを低下させたり、損傷を引き起こす原因となることがあります。このような熱を効率的に冷却することで、システムの信頼性と寿命を保つことができます。

熱伝達を理解するには熱伝導率、対流熱伝達係数、および放射率などの物性値の知識が必要です。これらのパラメータは、熱伝達率の計算に必要であり、材料の選択、断熱材の厚さ、冷却システムの設計など、に直接影響を与えます。

基本的な考え方=熱は高いほうから低いほうへ移動する

最も基本的な考えとしては、熱エネルギーは常に高温域から低温域へ自然に移動するというものです。この現象は温度差がなくなるまで続きます。この原則は、物質の状態(ガス、液体、固体)に関わらず適用されます。

一例を挙げれば、冷蔵庫の動作が停止した場合の熱の流れを考察します。冷蔵庫が稼働を停止すると、外部の高温空間(例えばキッチン内)と低温空間(冷蔵庫内部)の間で温度差が生じ、この温度勾配が熱流を生み出します。熱は冷蔵庫の断熱壁を伝導し、内部の食品や氷に熱エネルギーを運びます。時間が経つと冷蔵庫内の温度と外気温が等しくなります。

プラントエンジニアとしての私たちはこの熱伝達の原理を理解し、それをエネルギー効率の良いシステム設計に応用することです。熱交換器の設計、保温材料の選定、さらには工程の最適化など、熱伝達は多岐にわたる工学的応用に直結しています。この基本的な物理法則を把握し、適切にモデル化してシステムに適用することで、エネルギーの損失を減らし、プラントの総合的なパフォーマンスを向上させることができます。

熱を伝達する手段は3種類ある

熱エネルギーの伝達には、伝導、対流、放射の三つの基本的なメカニズムが存在します。熱伝達の理論は、これらのメカニズムの単独または複合作用を考慮したものです。今回は熱伝導に焦点を当て、その原理と計算方法について具体的に解説します。

例として、厚さ3センチメートル(cm)、高さ30cm、幅20cmの銅板があるとします。銅板の一面を400℃に加熱し、反対側の面温度を100℃と仮定します。この場合、熱流量はどのように計算されるのでしょうか?

熱エネルギーは常に高温から低温へと移動します。この場合、熱の流れは銅板の400℃側から100℃側へと発生します。この熱流は銅の熱伝導率により決定され、材料の寸法、すなわち厚さと表面積によっても影響を受けます。

銅の熱伝導率は一般に約370(W/m・K)とされます。この値と、先述の温度差と寸法を用いて熱流量を計算します。計算の際には、面積と厚さをメートル単位に変換する必要があります。具体的には、600cm²の面積を0.06m²に、3cmの厚さを0.03mに変換します。

こうして得られる熱流量の計算式は次のようになります:

  • 熱流量 Q = (熱伝導率 k) × (面積 A) × (温度差 ΔT) / (板厚 d)
  • Q = (370 W/m・K) × (0.06 m²) × (400℃ – 100℃) / (0.03 m) = 222,000 ワット

この計算から、銅板の400℃の面から100℃の面へ毎秒222,000ワットの熱が伝導されていることが分かります。熱流量の単位として「ワット」が使用されるのは、このようにエネルギーの流れの速さを示すためです。この熱エネルギーの流れは、銅板の両側の温度が等しくなるまで続きます。

熱伝導の概念と計算は、ヒートシンクの設計、絶縁材料の選定、冷却システムの最適化など、機械工学とプラント設計における多岐にわたる応用を持ちます。適切な材料選択と熱伝達メカニズムの理解は、エネルギー効率の高いプロセスを実現するために重要です。

熱伝導について:まとめ

熱伝達の理解は、エネルギー効率の高いプラント設計と機械工学において不可欠です。熱は常に高温から低温へ移動し、このプロセスは伝導、対流、放射の3つのメカニズムによって行われます。断熱材の設計や冷却システムの最適化において、これらのメカニズムを適切に利用することで、熱損失を最小限に抑え、システムの信頼性と寿命を延ばすことができます。

熱伝達の原理を理解しそれを工学的応用に活かすことは、プラント設計の世界では非常に重要となります。

例題でわかる伝熱工学 – 熱の移動が図でみえる

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