プラントを設置すると必ずと言っていいほど巨大なタンクなどを設置します。時には総重量が数十トンになる場合もあります。
この際に問題になるのが、基礎の強さなどももちろんそうですが、基礎とタンクを固定するアンカーボルトについて
- 配置
- 材質
- 埋め込み長さ
- 直径
などを考慮する必要があります。
特に日本は地震の多い国なので、設置したはいいけど自信が来て倒壊した、しかも自分が担当したところだけ・・・なんていうのは最悪です。
その為、少しでも計算を楽にするために私が実務で使用している計算シートを公開します。もちろん無料ですけど、無料ですので計算結果に不備があったり、そのせいで何か問題が起こっても全て自己責任で使用願います。
anchor_bolt_strength ←クリックでダウンロード
また、アンカーボルトの強度計算をする上でいくつかの注意点を記載していきますので、設計の際は是非参考にしてください。
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耐震クラス
耐震クラスについては、私自身もいろいろ調べたのですがどうも法的には「耐震クラスはB以上であればよい」となっているそうで、後は設計者の考えが反映されます。これは、建物や設備が一定レベルの地震に耐えうることを保証する基本的な要求です。
ただし、防振装置を使用した際は耐震クラスはSかAを使用すべきです。
私は基本的に耐震クラスは常にAとしていました。人によってはBでいいという人もいますが・・・法的要件を満たす以上に、最大限の安全性と耐久性を確保するためです。耐震クラスBが法的には許容されているとしても、安全性に対する配慮からより高い基準を選択することが望ましいと考えています。
地域係数
地域係数は基本的には1とすることをおすすめします。地域によっては0.9でもいいですが・・・正直にいうと資料見るのが面倒なだけです(笑)。
重量
耐震設計において構造物の重量計算は極めて重要です。特に液体を含む容器やタンクにおいては、その重要性はさらに高まります。
重量計算においては容器やタンクの内容物を100%充填した状態で考慮することが重要です。しばしば、運用上の充填率(例えば80%など)に基づいて計算されることがありますが、これは適切な耐震設計の観点からはあまりおすすめできません。
例えば地震によってなにかプラントに異常が発生し、それにより容器内の液体レベルが通常よりも増加し、100%充填状態に達したとします。この状態で余震が発生した場合、タンクのアンカーボルトには想定以上の負荷がかかる可能性が高まります。
その為、アンカーボルトが太くなったり埋め込み長さが長くなったりしてもいいので、重量はかならず内容物100%で計算しましょう。
重心高さ
これもなかなか難しい・・・というか考え方が人それぞれなところで、今は3D-CADで正確な重心位置が簡単に出せます。
しかし実務上、3D-CADで算出された重心位置よりも高い位置を仮定して計算を行うことがあります。これによりアンカーボルトが太く、埋め込み長さも長くなるので結果として安全性を高めることができます。
高めの重心位置で計算を行うことは安全マージンを確保し、地震などの予測不可能な負荷に対して設備がより強固に対応できるようにするためです。しかし、あまりにも安全性のみを考えて設計をするとコストの増加を招き、リスクとのバランスが取れなくなります。
客先に提出する際は注意!
客先に提出する際は特に注意しましょう。特に2011年の東日本大震災以降は、独自の設計基準を決めている会社もあります。
私も過去に「重心高さは機器の最も高いところにすること」と客先からの指示があったことがあります。そうなると「重心」という言葉の定義がよくわからなくなりますが・・・。
結果として、アンカーボルトの埋め込み長さや直径の見直しを余儀なくされる事態につながりました。
また、別のケースでは「機器重量は計算上の重量の1.1倍」という指示もありました。このような要求は過剰設計と捉えられることもありますが、顧客の設計基準の遵守は極めて重要です。
実際に設備を設置した後で「基準を満たしていなかった」と判明する事態は、信頼性を大きく損なうことだけではなく最悪の場合は再設計や、機器を再度納入する必要などが生じます。
耐震設計ではないですが、私は納入してから「実は顧客基準を満たしていなかった」という案件を見たことがあります。そうなると最悪なので顧客の基準は必ず守るようにしましょう。
アンカーボルトの強度計算:まとめ
アンカーボルトは一度設置すれば、再施工や修正はほぼ不可能となるので、埋め込み長さや直径は慎重に決定する必要があります。また、客先で設計基準があればそれに従う必要もあります。
プラント設計における耐震計算は法的要件を満たすだけでなく、安全性と耐久性を考慮して時には顧客要求にも柔軟に対応することも必要です。これらの要素を適切に考慮することで、安全で信頼性の高い設計が実現されます。
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