【プラント設計の基礎】食品工場のプラントエンジニアリングとは?




自宅の台所で生の食材からまるで芸術作品のような料理を生み出すのとは違いますが、食品製造プラントでも基本的にやっている事は台所でやっている事と同じです。

私のエンジニアとしてのキャリアは多岐にわたり超低温の世界から、超高温の世界、そして今では食品製造の世界に入っています。

基本的な仕事は食品製造プラントの設計や保守・点検ですが他の業種とは違う新たな困難に直面することもあります。

プラントエンジニアとしては10年以上のキャリアがある私でも、食品製造プラントはとても挑戦的な仕事です。プラントエンジニア自体が料理を作っているわけではありませんが、食品製造プラントのエンジニアは、エンジニアリングデザインの世界と、料理の世界の間の連絡係とならなければなりません。

そして今やプラントの機器として使用する物に関する考えも変わりました。以前の会社では最終製品だけ良ければOKという考えでしたが、今は最終消費者までのことを考えなければなりません。

食品製造プラントのエンジニアにとって大きな課題はたくさんあります。研究室の厨房で手作りで作られた試作品と同じくらい美味しくて美味しい食品を大量に製造するために、機器や生産ラインをどのように設計しなければならないのでしょうか?

見た目、味、食品独特の問題を考えた設計をする。

お気に入りのファーストフードチェーンで手に入れたハンバーガーがテレビのCMとは違うもののように見える場合がありますよね?

フードスタイリストとして知られるプロが、プロのマーケティング会社や制作スタッフと協力して、あなたを魅了するための美しい明るくバランスのとれたハンバーガーを、骨の折れるような努力をして作成したからです。

大量生産時には、同じ問題の多くに対処しなければなりません。テストキッチンで試作品を作成するときとは違い、人間の手が製品に触れることさえない可能性があります。

食品製造の世界では、「外観」の部分は非常に困難な場合があります。消費者からみて視覚的に魅力的な食品を、機械や製造ラインから生み出すのでしょうか?どのようにして美味しく、口当たりの良い食品を作るのでしょうか?

見た目と味以外の部分でもさらに困難な場合があります。

テストキッチンでは、小麦粉、バター、卵などの家庭用製品を使用してレシピが開発されます。パン生地独特の粘着性は多くの困難をもたらします。軽快な人間の指でさえときにそれを扱うのは難しいです。それを食品加工機械とコンベアベルトで取り扱うことを考えてみましょう。これにより粘着性によりさらに多くの問題が発生します。

これらの課題に直面したとき、プラントエンジニアはテストキッチンのシェフと密接に協力して、レシピや最終製品の形で何らかの妥協点を見つけ出す必要があります。

目標は消費者が購入したいと思う製品を高品質でかつ低コストで効率よく生産することです。成功するまでには、レシピや機器の設計を何度も変更し、多くのテストや再テストを繰り返すという反復的なプロセスが必要になります。

テストの結果生み出された最終製品が、最終的に製品が消費者の好みにマッチし、生産ラインにうまく流れることを証明すれば商業的成功になる可能性が高いです。

しかし、この成功は設計プロセスの一部にすぎません。完全な商業生産を開始する前に生産ラインは次のように設計されなければなりません。

  • 生産終了時に清掃が簡単。
  • 操作中に食品を汚染することがない。
  • 操作とメンテナンスが簡単です。
  • 他の製品を作るために簡単に設備の変更をすることが可能です。

洗浄性を考えた設計をする

食器を洗う際に何を気をつけますか?気をつけるとはいってもちゃんと油が落ちているかを気にするくらいでしょうか?フライパンになると焦げ付きとかが心配ですよね。

でも、フードプロセッサー、ミキサー、ブレンダー、スライサー等を洗うのは結構めんどくさいですよね?これらは、食品をカットしたり混ぜたりするのに大活躍し、下ごしらえの時間を短縮してくれます。

ただし、洗うのは別です。刃物の間に詰まった食品や中に詰まった油などを取り除くのにすごい時間がかかります。

大規模なフードプロセッサーは食品製造プラントで多くの食品を製造するためにも使用されており、全体的に大きく複雑になっているため清掃がさらに困難です。

巨大なフードプロセッサーでは巨大なミキシングボウルに入った膨大な量の材料を持ち上げるには、フォークリフトなどが必要なときもあります。

設計された装置をタイムリーかつ、費用対効果の高い方法で徹底的に洗浄できることを考えるのもエンジニアの重要な仕事です。

食品製造プラントは、原料と接触するすべての場所を掃除するために簡単にアクセスできるように設計されなければなりません。そして機器の大部分はCIP(Cleaning in Place=定置洗浄)として知られている方法で洗浄されなければなりません。

CIPを容易にするために、食品加工機械はオペレーターが洗浄装置の中に入ることを可能にするマンホールと、特別なカバーで設計されています。

パイプ、切断刃、成形機構、および押出ダイなどの機械の小型の部品は、取り外しができるように設計されます。

食品製造プラント内のすべてのものは、通常、高温の温水で洗浄されます。水は蒸気と水を混合する特別に設計されたバルブに接続されているホースのノズル端から排出されます。

その結果、食品の残留物を容易に除去する高温の温水を生成します。約90℃に保たれている水は、接触しているものすべてを素早く殺菌します。汚れを取り除いた温水は機械内の効率的にに配置された開口部を通って洗い流され、次にそれは近くのドレン溝に排水されます。

食品製造プラントが必要とする頻繁な洗浄をするために、それらの部品は高圧水流への頻繁な曝露に耐えることができなければなりません。部品は通常、水の腐食作用に耐えることができる、食品用プラスチックおよびステンレス鋼などの金属合金で構成されています。

また、水と電気は危険な組み合わせであるため、機器のガスケットやシールは、モータやその他の電気部品に侵入する水から保護するのに十分な耐水性を設けている必要があります。

コンタミネーションを防ぐ設計をする。

ニュースでたまにペットボトルの水の中にカビが混入したケースや、異物が混入したケースを見たことがありますよね?異物とは、割れたガラス、金属の削りくず、木の実、ボルト、プラスチック繊維、グリース、割れた機械部品など、さまざまな異物を含みます。

たとえそれが人体に危険のない異物であっても、消費者はそのようなものが混入している食品を購入しようとは思いませんよね。

プラントエンジニアが食品製造プラントを作成するときは汚染、つまりコンタミネーション(コンタミ)のリスクを除去して設計しなければなりません。コンタミが発生することを事前に防ぐ、または物理的に起こりえないような設計をする必要があります。

これらの設計は食品の安全を確保するために必ず必要なこととなります。これらの理由で設定されたチェックリストと手続き方針により、設計エンジニアは危険になる前にリスクを識別、評価、管理することができます。これには危険分析重要管理点(HACCP)の計画が立つところです。

これらのニーズに対処するために、FDAは、「危害分析重要管理点」として定義されるHACCPシステムを考え出しました。原材料の製造、調達、取り扱い、完成品の製造、流通、消費までを一貫して管理するシステムとなります。

HACCPは、潜在的な危険を防止、軽減、または排除するために開発され、危険を特定し、評価してから管理するための対策を策定する予防的戦略です。

HACCPの重要な要素は、製造のすべての段階で、そして完成食品が品質検査を受ける前の方法での食品汚染の防止を含みます。これは食品製造装置と生産ラインの設計プロセスにも及んでいます。

HACCPについてはすでに記事で書いていますので、第一回から読むのがおすすめです。

【プラント設計の基礎】HACCPによる食品工場設計方法その1:危害要因分析の実施

2019年6月15日

食品工場のプラントエンジニアリングとは?:まとめ

食品工場のプラントエンジニアリングは一般的なプラントエンジニアリングとは違う能力が求められます。

特に異物の混入や洗浄性などは特に配慮する必要があります。もし、消費者側で問題が起これば信用問題に繋がりますので。

他にも参考となる記事がありますので、これらを参考に安全・安心な食品を製造できるプラントを設計していきましょう。

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