【プラント設計の基礎】食品や薬品に使われるサニタリー配管って何?簡単な解説です!【規格・溶接】

現役プラントエンジニアが教えるプラント設計の基礎知識。

学校では教えてくれないことを中心に、実務に直結する内容を書いていきます。

今回は「サニタリー配管」について語ります。

サニタリー配管は食品工場や製薬工場などでは当たり前の世に使われています。しかし、逆にそれ以外の分野ではほとんど使われていないので、あまり知らない人も多いはず。

そんな人のために基礎から簡単な配管設計まで解説していきます。

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目次

サニタリー配管と一般配管の違いとは?

  • 一般配管とサニタリー配管は規格が大きく違うので間違わないようにしましょう。

食品工場とかでよく使われるサニタリー配管というのがあります。これは普通のプラントで使われる配管と違って

一般配管とサニタリー配管の違い
  • JIS G3447として規定されている。
  • 表示が15Aとか1/2Bとかではなく1Sや2Sで表す。
  • 材質がメーカーによってはSUS316Lのみのところがある。
  • ISO規格やDIN規格などの特殊な規格がある。(といってもJISフランジに対してANSIフランジみたいなもの)

などなど、普通の配管とはかなり違います。なぜなら使われるところが食品や医薬品などのコンタミを非常に嫌うところだからです。ですので、配管や継手も液だまりができないように設計されています。

しかし、配管の組み方を一歩間違えれば液だまりからバクテリアの発生など大変な事態に陥るのがサニタリー配管です。僕は本職ではないのですが解説していきたいと思います。

サニタリー配管の溶接時の注意点

  • サニタリー配管は溶接する際も注意が必要です。液だまりなどを作らないように溶接することが必要です。

普通に配管だとSUS配管でもバックシールドをしない場合や、酸洗をしない場合などありますが基本的にサニタリーではバックシールド+酸洗は必須です。

液だまり=バクテリアの発生場所と考えれば当然の考えです。ほかにも

サニタリー配管溶接の注意点
  • 配管溶接部はルート間隔0(mm)の突合せ溶接とする。溶接時はTIG溶接で必ずバックシールドを施し、かつ裏波ビードを完全に形成する。
    →バックシールドをせずに裏波がボコボコになるのを「花が咲く」という表現をしたりもしますが、そのようなところは液だまりとなりバクテリアの発生原因となります。その為、バックシールドは必須です。つまり、溶接を行う人もそれ相応の技能が求められます。
    ルート感覚が0(mm)なのは溶加材を使用しないからですが、その理由は下記に記載しました。
  • 溶接時は溶加材を使用しない。溶加材を使用すると裏波部が液だまりの原因となる事がある。
    溶加材を使用すれば裏波が大きく膨れ上がることがあります。それが液だまりの原因となることがあるので溶加材は基本的に使用しません。
  • 溶接スケールは必ず除去するが、SUS製のワイヤブラシなどよりは薬剤で酸洗と同時に不導体化処理をした方が見栄えもよい。
    →ここは会社によって意見が分かれるところですが・・・ワイヤブラシよりは酸洗をした方が見栄えが良いのでその方が良いと思います。少し面倒くさいですが・・・。

サニタリー配管設計時の注意点

  • 溶接と同様に液だまりができない配管設計、また洗浄性を考慮した設計が重要です。

配管設計もかなり気を付ける必要があります。食品配管などはかならずCIP(Cleaning In Place)を実施しますが、配管施工によっては効果的にCIPが行えず、洗っても洗ってもバクテリアが発生し続けることがあります。そのようなことを避けるためにも配管設計時から、コンタミを起こさないような設計が必要です。

サニタリー配管設計時の注意点
  • 配管途中はなるべく継手類は設けずに手間がかかっても現場溶接で配管を作成していった方が良い。継手は漏れとコンタミの原因になる。
    →どうしても長い配管があるとプレハブで配管を作り、現地では組み立てるだけにしたくなります。しかし、継手は漏れとコンタミの原因になります。できる限り現場溶接で配管施工することがお勧めです。
  • 継手類はメンテナンス時にどうしても必要な箇所のみに限定する。
    →上記と同じですが継手類はメンテナンス時にどうしても配管を外す必要があるところだけにしましょう。
  • サニタリーラインで使用する機器は全てサニタリー対応の機器を使用する事。
    →せっかくサニタリーラインなのに使用する機器がサニタリー対応でないとコンタミの原因になります。
  • 液だまりには特に注意する。液溜部分はコンタミやバクテリアの発生などの原因になる。
    →記載の通りです。
  • 液だまりとはならない部分でもCIPの際に洗浄できるかよく確認する必要がある。特にティーズでの分岐や圧力トランスミッタの取出しなど、ティーズを使う事でCIP効率が低下しバクテリアの発生源となる事がある。
    →分岐部は特に注意です。下記と関連しますが特にティーズの取り出しなどは液だまりとはならなくても、CIPの効率低下が発生しやすいです。
  • 分岐管の長さは、未使用の部分の長さが主管の軸から測定された主管のパイプの直径の6倍より長くてはいけない。可能であれば3倍以内にする。短いほど良い。(1.5倍までという基準もある)ティーズはローネックティーズを使用すると便利。
    →記載の通りです。要は主管の分岐から機器までは短ければ短いほどCIPの効率が上がります。ある会社ではローネックティーズというものが売っていますので、それを使うと大変便利です。
  • 横引き配管は完全に排水できるように1/100の勾配をつける。
    →記載の通りです。
  • CIPの際は必ず乱流になるように設計する。また、流速についても1.6m/s以上が良いとかいろいろなデータがあるが、対象となる汚れや使用する薬液により一概には言えない。(ただし、基本的に流速が高くなるほど洗浄効果は高くなる。)
    →これも会社によって意見が分かれるところですが・・・CIPの際は乱流になるように設計しましょう。流速に関しては会社によって考え方が結構違うようです。
  • CIP用薬液タンクはプロセスラインのタンクとは別に設置した方が良い。プロセスタンクの中で温水と薬剤を混合希釈した方が手っ取り早いように見えるが、もし薬剤がリークするとプロセスタンクの中が汚染される。
    →プロセスタンクをCIPタンクと兼用した方がはるかに便利ですが、もし薬液などでコンタミすれば大変なことになります。
  • 排水ラインは一旦開放する間接排水とする。ヘッダー管などに全て接続すると、そこから匂いやカビが侵入する恐れがある。一旦開放すると逆サイホン作用が防げる。
    →以外と盲点なのがこれ。ヘッダー管で集合させると思わぬトラブルの原因となります。
  • 異系統の配管の相互接続は逆流防止をする。できれば直接接続しないようにする。
    基本的に異種系統は直接混ざらないようにするのがベストです。
  • ネジによる取付は使用しない。サニタリー仕様か突合せ溶接とする。
    →ネジは液だまりの原因です。
  • フィルターは時にはバクテリアの発生源となるので、使用に際しては最新の注意を要する。
    →バクテリアの発生以外にも圧損などの原因となるので、粘度の高い液体は注意です。

なにか統一性のある企画はないの?

  • 実は統一性のある企画ってないんですよね。ルールも会社などによって様々だし。

食品工場や医薬品のサニタリーラインは「これ」といった明確なルールがいまいちはっきりしないところがあります。

食品だとHACCP、医薬品だとGMPが一つの基準ですが、文章での説明は多いのですが図面などは非常に少なく「じゃあ実際の設計ではどうするの?」と疑問を持つことも少なくありません。

ただし、HACCPとGMPについて勉強することは損ではありません。食品工場、医薬品工場では当たり前の企画だからです。

はじめてのHACCP工場医薬品製造工場の施設・設備設計のポイント 固形製剤・無菌製剤・バイオ原薬に関連して基本から応用までが勉強するのにお勧めです。

はじめてのHACCP工場

医薬品製造工場の施設・設備設計のポイント 固形製剤・無菌製剤・バイオ原薬に関連して基本から応用まで

一般的なプラント配管の知識も重要です

  • サニタリー配管だけで成り立つ工場はないので、一般配管の知識も重要です。

サニタリー工場とはいえ、普通に冷却水やエアーの配管も存在しています。そのような所はサニタリー配管を使いませんし、液溜まりなども基本的には考慮しません。

この辺もサニタリー工場の難しいところで

  • どこからどこまでをサニタリーラインとして扱うのか?

などなど考えなければいけないのが非常に難しいところとなります。

一般配管の考え方は

プラント配管設計がわからない? そんな人のために僕がやってきた方法を公開します!」に記載してますのでぜひ参考にしてみてください!

また、サニタリー配管でも1級管工事施工管理技士の資格は非常に役に立ちます。一発で合格した僕が勉強法なども解説しているので、ぜひ参考にしてみてください!

まとめ

まとめ
  • サニタリー配管で重要なのは液だまりとCIP効率の考え方。
  • 考え方によっては非常に簡単な配管に見えるかもしれませんが、単純なミスでバクテリアの発生などが起これば大問題になる。
  • 配管は設計時に注意(液だまりや洗浄不能なところがないか)のチェックが必要。
  • 現場でも定期的にチェックして早い段階で不具合を見つけることが重要。

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