【プラント設計の基礎】流体の不思議:圧縮性と非圧縮性の違いから油圧ジャッキの驚きの力まで

現役プラントエンジニアが教えるプラント設計の基礎知識。

学校では教えてくれないことを中心に、実務に直結する内容を書いていきます。今回は「パスカルの原理」について語ります。

パスカルの原理は油圧ジャッキなど身近な物にも利用されている原理です。小さな力をどのように大きな力に変換するのか解説していきます。

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目次

まず”圧縮性”流体と”非圧縮性”流体の違い

流体とは、せん断応力を受けたときに連続的に変形を起こす物質のことを指します。これには液体や気体、あるいは特定の条件下の固体(例:アスファルトや樹脂)も含まれます。簡単に言うと、ナイフで液体を切ったとき、その液体は切断面で一時的に分断されるものの、ナイフの通過後に再びつながります。

流体を学ぶ上での基本的な分類として「非圧縮性流体」と「圧縮性流体」があります。

非圧縮性流体

非圧縮性流体はその名の通り、容易には圧縮することができない流体のことを指します。水や油などの液体は、密閉された容器の中で外部からの圧力を受けてもその体積がほとんど変わらない特性があります。これは、液体の分子が既に密接に接触しており、さらに圧縮する余地がほとんどないためです。

圧縮性流体

一方で、ガスは圧縮性流体として分類されます。ガスの分子は液体に比べて互いに離れているため、外部からの圧力を受けると分子間の距離が縮まり、体積が小さくなります。この性質から、ガスは容器の中で容易に圧縮することが可能です。

この2つの基本的な概念を理解することは非常に重要です。さらに深く理解を深めるためには、流体に関する法則や原理、特にパスカルの原理を学ぶと良いでしょう。パスカルの原理は、閉じられた流体内の任意の点における圧力の変化が、その流体全体に等しく伝わるという原理です。これを基盤として、様々な流体機械や装置の動作原理が説明されています。

油圧ジャッキから考えるパスカルの原理

油圧ジャッキは、自動車整備や建設現場などで重量物を持ち上げるための重要なツールとして使用されます。しかし、その背後の原理を理解することで、機械工学やプラント技術の基本的な概念を習得するのに役立ちます。

基本構造

油圧ジャッキは、主に大きなシリンダと小さなシリンダの2つから成っています。両方のシリンダーの間には油を通すための通路が設けられています。各シリンダの中心にはピストンが取り付けられています。

パスカルの原理の適用

液体(この場合はジャッキのオイル)は圧縮することが難しく、その性質がパスカルの原理と呼ばれる現象の背後にあります。具体的には、閉じた容器内の液体に圧力をかけると、容器内の全ての部分に等しくその圧力が伝わるという性質です。

計算の例

油圧ジャッキの操作中、小さなピストンに力F1をかけると、その力が油を介して大きなピストンまで伝わります。圧力は、力を面積で割った値として表されます。したがって、小さいピストンと大きいピストンの間での圧力は等しくなります。数式で示すと以下のようになります。

  • F1/小さなピストンの面積=F2/大きなピストンの面積

例えば、小さなピストンの面積が2mm2、大きなピストンの面積が20mm2、F1が50Nであるとすると、上記の式からF2(大きなピストンに伝わる力)を計算できます。

  • F2=50N/2mm2✖️20mm2=500N

この計算から、小さいピストンに50Nの力をかけると、大きいピストンでは500Nの力が発生することがわかります。つまり、ジャッキは入力を10倍に増幅する能力を持っています。

さらに、大きなピストンの面積を増やすことで、持ち上げる力も増加します。このようにして、小さな入力力で大きな出力力を得ることができるのです。

パスカルの原理:まとめ

パスカルの原理は、流体力学の基本的な原則の1つであり、プラントエンジニアや機械工学者にとっての基礎的な知識となっています。この原理は、閉じられた容器内にある流体に圧力を加えると、容器内のすべての部分に等しくその圧力が伝わるというものです。

例として、油圧ジャッキが挙げられます。車の修理や点検の際に使われるジャッキだけでなく、大型機械の油圧シリンダや各種産業機械にも応用されています。油圧ジャッキの動作原理は、手動ポンプや電動ポンプで油を高圧に圧縮し、その圧力を利用してジャッキを上昇させるというものです。このとき、パスカルの原理により、ポンプで生じた圧力はジャッキの全体に等しく伝わり、それによって重量物を持ち上げることが可能となります。

この原理を理解していると、各種の機械やプラントの設計、運用、トラブルシューティングにおいて、効果的な対応や改善策を考えることができます。例えば、油圧システムの漏れや故障が生じた場合、パスカルの原理を基に圧力の変動や流れの変化を読み解き、問題の原因を特定することが可能となります。

学生や新入社員、そして経験豊富なプラントエンジニアまで、パスカルの原理は多くの場面でその重要性を示しています。この原理をしっかりと理解し、日々の業務や研究に役立てることで、より効果的な工学の実践が可能となります。

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