みなさんこんにちは、プラントエンジニアのヤンです。
現役プラントエンジニアが教えるプラント設計の基礎知識。
学校では教えてくれないことを中心に、実務に直結する内容を書いていきます。今回は「有限要素法(Finite Element Method :FEM)」について語ります。
機械部品は非常に複雑な構造となっていますので、その強度を計算しようとすると非常に複雑な計算となります。
その為、計算が簡単な構造体まで分解して強度を計算するのが有限要素法となります。分解するので計算回数は増えてしまいますが、近頃はパソコンやスーパーコンピューターの発達で複雑な形状でも強度計算ができるようになっています。
近頃は転職サイトも非常に多いですが”エンジニア”向けの転職プラットフォームはあるのに、”プラントエンジニア”に特化したものはありませんでした。その為、総合転職サイトで求人を探してもなかなか見つかりにくい状況ですよね?そこでおすすめなのが「プラント特区」です。”プラント業界専門の転職求人プラットフォーム”ですのできっとあなたに合った求人が見つかるはずです。
有限要素法(Finite Element Method :FEM)とは?
材料の強度に関する設計や構造力学になじみのない方は「有限要素法」や「FEM」という言葉を見ても、それが何を意味するのか解らない人もいると思います。
エンジニアリングの世界、材料強度や構造力学の世界では特に、機械部品や構造要素内の応力や歪みを解析するためにFEMが使用されています。
FEMの結果はエンジニアが設計機械部品の強度などをわかりやすく説明するために、視覚的に非常に理解しやすく効果的にデモンストレーションとして使用できます。
そもそも”有限要素法”とは?
有限要素法とは構造物をメッシュと呼ばれる複数の有限の要素に分割することから始まります。
この”有限の要素”というところが重要で無限に分ければその形状に対して正確な計算ができますが、無限に要素を分割して計算なんてそもそも無理です。計算も無限に続きますからね。
なので”有限の要素”に分割して計算することから始まります。有限の要素と言われても理解しにくいと思うので、計算をする構造物が網目のような構造になっていると考えてください。
この様なメッシュを横に伸ばすと形状が変化するにつれてメッシュの網目の形状も変化しますよね?
実際のコンピューターによる解析もこの様な形で行われています。
もちろん、メッシュの形状や2D、3D、メッシュの複雑さで正確性も変わりますし計算時間も変わります。
ということで一般的な有限要素法による構造解析では
- メッシュをCADなどで作成する。
- 荷重条件や境界条件などを設定する。
- 材料の物性を決定する。
- 計算実行
- 終わるまで待機
- 結果に合わせて更にメッシュを細かくするなどを決定する
という順番で行うことが一般的となります。ここで重要なのは計算結果と計算時間のバランスを取るということです。
メッシュを非常に細かく作成すればそれだけ計算結果も正確になりますが、同時に計算時間もかかるようになります。
もちろん、物自体がそれだけの計算結果が必要であればやむを得ないですが、そうでなければ無駄な時間をかけることは望ましくありません。
ここの妥協点を見つけるのが設計者として非常に重要です。もちろん正確な計算結果は重要ですが時間内に設計が終わらないのも問題なので、計算結果からそれで十分かどうかを判断する”目”を養うことが非常に重要になります。
FEMの行い方
FEMを実施するためには、エンジニアはCADソフトなどを使って機械部品のモデルを3Dで作成します。重要なところとしてこれらのモデルは、実際の機械部品などと同様の形でモデリングされ、物理的な制約と材料特性をプロパティとして含んでいる必要があります。
モデルが完成した後はソフト上で作成した3Dモデルに実際の“力”を加えていきます。ソフトウェアは結果として力のかかり具合をわかりやすくカラフルに表示します。色の違いは異なる応力レベルを表します。
青は低ストレスの領域であり、赤は高ストレスの領域となります。
つまり、赤い領域は、機械部品がその応力により破損などの不具合の可能性が高い場所です。
FEMの活用法
FEMの結果は機械部品上のある領域が、作用する力によって変形または破損する可能性がある場所を証明することができます。
FEMは、特許侵害訴訟でも使用され、デバイス内の機械部品が設計された時の条件と実際の条件を比べた際に、実際にどのような違いが生じるのかを検討することができます。
また、自分が作成した架台や梁などにどのような力が加わるのかを知りたい方にもお勧めです。
実際に手で計算した結果とFEMで計算した結果を比較する事で、設計の正確性を検証することができます。
FEMを行うには?
FEMを行うには非常に高額なソフトウェアを使うのが一般的でしたが、今では一部のCADソフトに標準で備わっています。それでもまだ、値段は安いとは言えません。
「FreeCAD」というソフトウェアはオープンソースで使用できる3D-CADでFEMを行うことも可能です。
高価なソフトウェアに比べると一部仕様が見劣りするところもありますが、毎日解析を行うわけではなくあくまで確認程度で行うのであれば十分な機能を有しています。
詳しい使い方は無償3D CAD「FreeCAD」でFEM解析に挑戦!を参考にしてください。
本格的にFEMを行いたい人へ
本格的にFEMを用いて解析を行いたい人は、まずFEMに関して勉強をすることをお勧めします。
お勧めの本は
- 図解 設計技術者のための有限要素法はじめの一歩 (KS理工学専門書)
- 図解入門 よくわかる最新有限要素法の基本と仕組み―応力解析の実践とその手順を初歩から学ぶ (How‐nual Visual Guide Book)
の2冊が初心者にも解りやすくまとめられています。
図解 設計技術者のための有限要素法はじめの一歩 (KS理工学専門書)
図解入門 よくわかる最新有限要素法の基本と仕組み―応力解析の実践とその手順を初歩から学ぶ (How‐nual Visual Guide Book)
有限要素法(FEM):まとめ
- 有限要素法(FEM)は複雑な材料の強度計算などに幅広く使われてきた。
- 有限要素法(FEM)は現在のPC性能の向上などにより、ソフトウェアは高額ですが誰でも簡単に行うことができるようになってきました。
- 計算には時間もかかるが正確な計算には時間が必要。どこで妥協するかの”目”を養うことが重要
- もちろん、3Dモデリングを作る技術などはいりますが、それを差し引いても昔に比べれば簡単にできる。
- 自らが設計した設備やデバイスが、どの程度の荷重で破壊するかを考えるのにFEMを有効に使えるようになりましょう。
図解 設計技術者のための有限要素法はじめの一歩 (KS理工学専門書)
図解入門 よくわかる最新有限要素法の基本と仕組み―応力解析の実践とその手順を初歩から学ぶ (How‐nual Visual Guide Book)
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