※アホではできません。
プラントを建設して試運転をすれば全てOKにはなりません。
いくら全自動制御で運転がかかっているとしても、いざというときのトラブルのために必ずオペレーターが必要です。
ここでは、プラントオペレーターの仕事や必要とされる知識について解説していきます。
近頃は転職サイトも非常に多いですが”エンジニア”向けの転職プラットフォームはあるのに、”プラントエンジニア”に特化したものはありませんでした。その為、総合転職サイトで求人を探してもなかなか見つかりにくい状況ですよね?そこでおすすめなのが「プラント特区」です。”プラント業界専門の転職求人プラットフォーム”ですのできっとあなたに合った求人が見つかるはずです。
プラントオペレーターの仕事はざっくり分けると3つ
プラントオペレーターの仕事はざっくり分けると下記のようになります。
- 監視業務
- 日常点検
- 異常時の対応
では各項目について解説していきます。
1.基本的な仕事は監視業務
プラントオペレーターの基本的な仕事は、プラントの運転状態を監視することです。この役割は、プラントの規模や構造に応じて異なる方法で実施されます。
- 小規模プラント: 小規模プラントでは、操作パネルに組み込まれたタッチパネルの表示を通じて、機械やプロセスの状態を監視します。これには、温度、圧力、流量などの基本的なプロセスパラメータが含まれることが多いです。
- 大規模プラント: 大規模な施設では、SCADA(Supervisory Control and Data Acquisition)システムを利用します。SCADAはリアルタイムでのデータ収集と遠隔監視を可能にし、より複雑なプロセスの効率的な管理をサポートします。
異常状態の監視と対応
オペレーターは、システムが自動的に検知して発する警報に注意を払う必要があります。しかし、それだけでは不十分です。プロセスの異常な動きや予期しない変動を見逃さないためにも、継続的な監視が求められます。たとえば、プロセスの進行が停滞している場合、それは機械の故障、原材料の問題、あるいは制御システムの誤動作なのかを判断する必要があります。
サンプリングと品質管理
プラントオペレーターの役割には、定期的なサンプリングと製品の品質検査も含まれます。これは、製品が規定の品質基準に適合していることを確認するために不可欠です。サンプリングには、化学的、物理的特性の分析が含まれ、品質管理として非常に重要です。
2.設備の日常点検も重要な仕事
設備の日常点検もオペレーターの重要な仕事です。
日常点検の主な目的は機器の状態を継続的に監視し、予防保全を行うためです。これにより、予期せぬ故障や長期にわたるダウンタイムを低減させます。点検はプラントの安定稼働を維持し、計画外の停止による損失を避けるために必要不可欠です。
機器の状態をチェックすることで、事前に機器の保守点検計画を立てることができます。
大体の点検項目では許容範囲が決められているので、それを超えたら保全要員に連絡して保全計画を立ててもらう流れになります。
簡単で安全な機器の交換くらいなら、オペレーターで実施することもあります。日常点検はとても簡単な仕事ですが非常に重要です。例えば
- 差圧が増えてきたからフィルタの交換を計画する。
- ポンプの振動が増えてきたのでメンテナンスもしくは交換の計画をする。
- グリスアップ・オイル交換の頻度の確認。
- 設備から異常な音や振動が発生していないかを確認する。
などなど、いろいろな項目をチェックしますが、日常点検により異常を発見することができれば計画的なメンテナンスを実施することができます。
これが突発故障のたびに交換していたら、プラントも停止するしお金もかかっていい事はありません。
その為、日常点検は非常に重要な仕事になります。適切に実施された日常点検は計画的なメンテナンスの実施を可能にし、突発的な故障やプラント停止を防ぐことで、長期的な運用コストの削減に寄与します。
3.異常時の対応
例えば運転中に突然アラームが発報した際に、どのような対応をとるか?これは非常に重要です。
- 引き続き製品を生産できるのか?
生産ラインを稼働し続けることが可能かどうかを判断する必要がある。 - プラントを止めるのか?
アラームが重大な安全上の問題を示している場合、即時にプラントの運転を停止する必要がある。安全と設備の保護を最優先する必要がある。 - このアラームの原因は何なのか?
アラームの原因を迅速に特定し、その原因を解決する必要がある。 - 直ちに対処すべきか、それとも後日対処でもいいのか?
アラームが発報した時点での対処の緊急度を判断する必要がある。
などを判断していかなければなりません。特に深夜や休日の場合はすぐにメンテナンスを実施できない場合もあります。
もちろん危険な状態であればプラントを停止すべきですが、とりあえずアラームを停止して生産できるのであれば生産すべきです。
そのような判断は
- プラントのプロセス
- アラームの種類
- アラームが発報した際のプラントの状態
などを判断して運転継続すべきか否かを判断しなければなりません。
そのため、プラントオペレーターは自分が担当するプラントがどのように製品を生産しているのかよく理解する必要があります。
なので冒頭に「アホではできない」と書いたのです。つまり業務が高度な技術的理解と判断力を必要とすることを強調しているのです。
実は「監視業務」と書かれていながらも責任重大な仕事!
プラントオペレーターの職務は、一見単純な「監視業務」に限定されているように思われがちですが、実際は遥かに複雑です。大まかに分類すると以下の三つの要素から成り立っています。
- 監視業務
- 日常点検
- 異常時の対応
の3つだけです。また求人情報などにも「監視業務」とだけ書かれていることもあります。
それだけ見ると、本当にパソコンなどをただ見ているだけと思われがちですが、実際は責任重大な仕事です。
特に異常時に適切な対応ができずに、不良品を大量に製造した場合や、最悪な場合はプラントの運転停止や機器の故障などを起こした場合は怒られるだけでは済まないかもしれません。
実際私が建設したプラントでも、オペレーターが異常時に
- 「これくらいならいいか」
とアラームを無視して運転をした結果、設備が異常に加熱し破損。交換に4か月程度の日数と数百万の損害を出したこともありました。
これは機械だけですが、生産停止分も合わせれば数千万円の損害が発生したことになります。
その為、プラントオペレーターは責任重大な仕事なのです。とはいっても止めたら止めたで「なんで止めるんだ!」といわれる理不尽な仕事でもあります。
3交代ならまだまし、2交代はきつい
プラントにもよりますが年間を通じて、つまりほぼ365日定修の期間以外は連続して運転する場合もあります。そうなるとオペレーターはシフト制で勤務します。そうなるとやはり3交代や2交代になります。
私は3交代のプラントオペレーターでも身体はきついと思っていますが、2交代ではなおさらです。
ただし、勤務体系によるでしょう。
3交代の場合は
- 朝勤→朝勤→昼勤→昼勤→夜勤→夜勤→夜勤明け休み→休み→休み
この勤務形態では各シフトが通常8時間で、連続して同じシフトに就く日数が限られています。夜勤明けには体のリズムを調整するために必ず休暇が設けられています。しかし、夜勤の最終日は身体的にも精神的にも負担が大きくなります。ですが後述する2交代よりは体がリズムの変化に適応しやすく、比較的バランスの取れた休息が可能です。
一方2交代では
- 昼勤→昼勤→休み→休み→夜勤→夜勤→休み→休み
この場合は昼夜のシフトが交互に来るため、体のリズムを維持するのが難しくなります。特に夜勤明けは実質的に一日しか休めないことが多く、12時間勤務の身体的疲労も大きいです。
ただし、以上は理想的な3交代もしくは2交代ですので、すべての工場がこのような勤務体系とは限りません。
実際、これらは理想的な勤務スケジュールであり全てのプラントがこれに準じているわけではありません。場合によっては2週間以上続く夜勤や、有給休暇が取りにくい状況もあり得ます。
交代勤務制で働く場合は以下の点に気をつける必要があります。
- 健康管理:長時間勤務や夜勤によるリズムの乱れに注意し、栄養をしっかりと取り、しっかり休む。
- メンタルヘルス:ストレス管理とメンタルヘルスのケアを気をつける。
- 法的権利の理解:勤務条件や労働基準に関する法律を理解する。
- 家族との調整:家族とのコミュニケーションを保ち、理解を得るとともに職場での理解も得ることができるようにする。
給料は意外といい
プラントオペレーターとしての給与は夜勤手当や休日手当などを含めると、同年代の平均的なサラリーマンより高い可能性があります。
しかし、その分交代勤務などで体を酷使しているので、健康には十分に気をつける必要があります。他にも機械の操作や維持管理に加え、緊急時の対応や異常状態の監視など多岐にわたる業務を任される場合があります。
時には高いストレス状態の中での迅速な意思決定が求められるため、健康管理とストレスマネジメントが非常に重要となります。
プラントオペレーターはプラント全体の安全性と効率を維持する役割を担っています。プラントオペレーターの役割は社会のインフラと産業の安定性を支える重要な仕事です。
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