食品工場で使用されるポンプや機器は高い洗浄性が必要とされます。使用後に洗浄をしないと内部でバクテリアが発生したり、生成物によりコンタミネーションが発生し製品を汚染する可能性があります。
その洗浄としての用語として主に
- COP(Cleaning Out of Place):分解洗浄
- CIP(Cleaning in Place):定置洗浄
があります。これらは両方とも機器の洗浄に関する用語ですが、機器を分解して洗浄するのか?分解せずにそのまま洗浄するのか?という大きな違いがあります。
今回はCOPとCIPの違いをポンプを例にとって解説していきます。
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COPとは?
COP(Cleaning Out of Place:分解洗浄)は、上にも書いていますが「機器を分解して内部の汚れを洗剤等で洗浄する」ことをいいます。この方法は特に、機器内部の汚れや汚染物質を除去する必要がある場合に重要です。
COP洗浄を必要とする機器では
- 分解性が良い事、つまり特殊な工具や治具を必要とせず分解できる。
- 大きなメンテナンススペースが必要ない事。
- 簡単に分解できること。作業時間があまりかからない事。毎日やることになると簡単に分解できて、作業時間が短いことは非常にに大切です。
などの特徴が求められます。
例えば、ポンプのケーシングが通常のボルトで固定されている場合、分解には毎回工具が必要です。
しかし、蝶ねじを使用することで工具なしでの分解が可能になります。
また、COPの際にメカニカルシールなどの位置合わせが毎回必要になれば、その時間が非常に無駄です。
そのような複雑なシールがないポンプを選ぶこともCOPを実施する際には、非常に重要になります。
さらにこれが食品工場などになるとサニタリー性が求められます。
- 洗浄液などで腐食しない材質、さらに製品をコンタミしない材質を用いる。
- 汚れが付着しない工夫がされていること(電解研磨など)。
- 汚れがたまりやすく、洗いにくい箇所がない事(ねじなど)。
といった特徴が追加で求められます。
ねじの溝などは非常に汚れがたまりやすく、洗浄しにくいのでサニタリー性が求められる場合は絶対に使用されません。
また、ステンレスを使用する場合は電解研磨などで汚れがつきにくいようにしている場合もあります。求めるスペックにもよりますが。
このようにCOPを実施する際は単に分解洗浄できるだけでなく、多くのことを考慮する必要性があります。
CIPとは?
CIPも上記に書いてある通り「Cleaning in Place:定置洗浄」の意味です。機器や配管を分解せずにその場で洗浄する方法です。
COPとは違い分解せずにそのまま内部に洗浄液を流して洗浄する構造です。分解・組み立ての手間が全くなくなります。
これは、特に食品、化学、産業で広く利用されています。洗浄プロセスは自動化されており、洗浄液はシステム内部に直接送り込まれます。
メリットとしては
- 洗浄プロセスが自動化されているので、人の手による洗浄ではないので常に一定の洗浄性を保つことができる。
- 分解、組み立てが不要なので作業時間の節約。
- 洗浄から生産までをすべて自動化できる。
事が挙げられます。
しかし注意点としては
- 洗浄液の温度・濃度などを適切に保つ必要がある。特に洗浄対象物の材質や汚れの種類に応じて、最適な洗浄液を選定し、その濃度と温度を正確に管理する必要があります。
- 液だまりなどの洗浄液が効率的に流れないところがあると、効果的な洗浄ができなくなる。配管、機械設計は、洗浄液が均一に流れるように設計する必要がある。
などが挙げられます。
特に薬液の濃度と温度に関しては、濃度も高ければよいわけではなく、温度も高ければよいというわけでもなく両方とも洗浄する対象物に適した温度と濃度があります。
この辺はいろいろと実験しながら探っていくしかありません。
また、液だまりなどもあると効果的な洗浄ができないので、製品をサンプリングしたらバクテリアがコンタミしていた・・・。なんてことも発生しかねません。
そのようなサニタリー配管の基礎知識は「【プラント設計の基礎】食品とかで使われるサニタリー配管って何?そんな人への簡単な解説です!」で解説しているので、是非一読してみてください。
COP、CIPともに定量的な数値はない
COP (Clean Out of Place) と CIP (Clean In Place) は、食品や化学プラントでの機器や配管の洗浄において非常に重要なプロセスの一部となります。しかし、これらのプロセスにおける分解性や洗浄性、サニタリー性については、一般的に厳密な定量的基準が存在しません。
そのため、適切なポンプや設備の選定には、特定のアプリケーションに合わせた詳細な検討が必要です。
その為、例えばポンプを注文するときは
- COP、CIPどちらがいいのか?使用する製品やプロセスに応じて、どちらのシステムが適切かを決定する必要がある。
- 使用する製品の物性(粘度、温度など)。製品の粘度や温度はポンプの選定において重要な要素です。これらの物性は洗浄性にも影響を与えるので、正確に理解する必要があります。
- 流量と流速。適切なポンプのサイズやタイプを選択する上で基本的な情報です。
などを提示すれば最適なポンプを選定してくれます。配管設計に関してもサニタリー配管を専門に設計している所であれば、ベストな設計を提示してくれるので、そのような会社を有効活用しましょう。
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