みなさんこんにちは、プラントエンジニアのヤンです。
私は10年以上プラントエンジニアとして働いてきましたが、今では工場の設備管理として働いています。
私の中でプラントエンジニアという仕事は非常に大変な仕事でした。拘束時間も長いし、責任も大きいし、休みも少ないし、そしてそれらに翻弄されていました。
ということで僕が思うプラントエンジニアのきっつい点を書いていきたいと思います。
近頃は転職サイトも非常に多いですが”エンジニア”向けの転職プラットフォームはあるのに、”プラントエンジニア”に特化したものはありませんでした。その為、総合転職サイトで求人を探してもなかなか見つかりにくい状況ですよね?そこでおすすめなのが「プラント特区」です。”プラント業界専門の転職求人プラットフォーム”ですのできっとあなたに合った求人が見つかるはずです。
ワークライフバランスなんてない(と思ったほうがいい)
会社にもよりますがワークライフバランスなんてありません。
プロジェクトが決まれば納期に何が何でも間に合わせる必要があるので、書類や図面の作成、必要な機器の購入度の業務に追い回されます。
特に設計業務の最中は突然の設計変更などによる図面の変更などもありますから、それに対応するのに必須です。
「じゃあそういうのも見越してプロジェクトを受注すれば?」
と思うでしょうが余裕のあるプロジェクトを組んでも、じゃあその分納期はやめろってことになるので余裕のあるプロジェクトなんて存在しません。
なので
- 大量の仕様書や書類の作成。
- 大量の図面の作成処理。
- 毎日来る大量のメールの処理。
- 設計に関する打ち合わせ、図面に関する打ち合わせ(そしてその後に待っている大量の修正作業)。
- 平日昼間は打ち合わせ、電話、メールに翻弄される。
- 結局、夜しか仕事が進まなくさらに土日祝の方が電話も来ず仕事を快適に進められることに気づく。
こんな漢字で毎日翻弄されます。
現場工事が始まれば更にひどくなります。
現場工事は資材の搬入遅れなどによる遅延が起こることもあれば、天候などによって工事ができないときもあります。
しかし、納期は必須なので間に合わなければ休み返上で工事を勧めていきます。
さらに試運転でトラブルが起きればそれを解決するために設計の確認や、修正工事などでどんどん時間が取られていきます。
こうなると休日どころか現場事務所に缶詰状態になり、ホテルなどにすら帰れない状況になることもあります。
では部門別にもう少し見てみましょう。
設計
プラントの設計と言っても一つの分野ではなくプロセス設計や配管設計、及び電気計装設計などに分かれます。大きな会社になるとさらに細分化されていくので、どの部門が一番忙しいとはいうことができません。
むしろ多くの部門が連携して成り立っているので他の部門の仕事に影響されることもあれば、自分の仕事のせいで他部門に影響を及ぼすこともあるので適当な仕事などできません。
さらにこれらを取りまとめるプロジェクトマネージャーとして働く場合などもあります。
そのため打ち合わせや仕様の調整、他部門との仕様の連携などいろいろと行う業務が多いので業務量は非常に多くなっていきます。
さらに問題が起こればすぐに解決しないとプラント全体の納期につながるので、残業量も多くなっていきます。
施工管理
施工管理の業務は基本的にほぼ毎日作業が行われることもあり、基本的に土曜日は100%仕事があると思ってください。また、工事開始時や大きな機械の据付工事などがあると早朝から深夜まで仕事が及ぶこともあるので、必然的に仕事量も多く残業時間も多くなります。
また、お盆やゴールデンウィーク、及びシルバーウィークなども基本的に無いと考えたほうが良いです。
基本的に休みも少なく残業も多いので肉体的にも、精神的にも非常に厳しい仕事です。
社会的責任が大きい
プラントというのは社会と直結する仕事です。
大規模な石油精製プラントでは化石燃料の生成に使用されますし、ごみ処理プラントでは多くの家庭や企業から出るごみの処理、それ以外でも水処理プラントなどがありますがどれもが社会と直結する仕事です。
つまり大きなミスをすると社会に大きな影響を及ぼす可能性があります。
その例が住友重機と京都市の間で起こった、ごみ溶融プラントをめぐるトラブルです。
詳しくは検索すれば今でもその当時のニュースなどが見れるので割愛しますが
- 2005年:契約
- 2009年~12年:試運転を重ねるもトラブルの連続。そのたびに改善案を提出し、改善工事を実施するが改善せず。
- 2013年~2014年:京都市から契約解除を通知するが住友重機が拒否したので、京都市が京都地裁に提訴
- 2017年:和解が成立。京都市が約154億円の支払いを受けることで和解。
という感じでトラブルから裁判にまで発展し、多額のお金を支払うことで和解しています。
このトラブルについては住友重機が側も京都市から受け入れたごみが聞いていたものと違うなどという主張もしていましたが
- そもそも住友重機が今まで経験のない規模の仕事を引き受けた。
- 設備設計に余裕がなかった(ごみの性状が変化することは予想できるはず。というかそこまで予想してプラント設計する必要があるのでは?)。
- 根本的な原因究明、対策ができなかった。
などの問題が潜んでいると考えられます。
そして結局、京都市の土地を無駄遣いしてプラントも稼働できないという最悪の結果となってしまいました。
特に公共事業なので、そこで成果を上げて新たな仕事を引き受けようという考えもあったのかもしれませんが、逆に自社の評判を下げることになってしまいました。
このように公共事業だけでなくても、小さなミスが重なると致命的なミスへと発展します。
そしてプラントがうまく稼働できないということはそこから発生する製品も供給できないということになり、大きな影響を社会に残す可能性もあるわけです。
人命にかかわる事故が発生するリスクがある。
プラントは時には高温高圧の物質を扱います。それだけ事故が起きると大きな被害に直結しやすいです。
例えば2012年4月22日に発生した三井化学岩国大竹工場爆発事故発生したでは
2012年4月22日に山口県和木町で発生したプラント爆発事故。構内の社員1名が死亡、地域住民を含む25名が負傷し[1]、近隣地域の家屋999軒に損傷をもたらした。
というふうに、死者が発生しただけではなく周辺住民にも多くの被害を及ぼしました。
またそれ以外でもプラント関係では数多くの事故が発生していますが、その中でも有名なのはボパール化学工場事故でしょう。
周辺住民が数千人死亡するだけでなく、現在でも汚染地域が残るなど大きな問題となっています。
また、これ以外でも工事中による労災などで死亡事故が発生すれば、社会的にも大きな影響を及ぼしますしなにより自分が現場監督であれば刑事処分を受けることだってありえます。
このように人命に関わるリスクが大きい、とりわけ自分ではなく他人にも及ぼす影響が大きいのがプラントエンジニアと言う仕事です。
海外での仕事が多い=日本では考えられないリスクが有る
私もそうでしたが海外で仕事をするのも多いのがプラントエンジニアリングという仕事です。
現在(2021年2月)のコロナ禍の情勢では海外に行くことも少なくなりましたが、それでも仕事がある以上海外で働かざるを得ない状況にある人はいます。
つまり
- 犯罪などの治安。特に2013年の「アルジェリア人質事件」等のテロのリスクなどもある。
- 感染症等のリスク。予防接種などもあるが全てを防ぐことはできない。特に狂犬病などは危険。
- 現地の食事。
- 万が一病気になった際の医療体制。
などの多くのリスクがあります。
私も海外で仕事をした際に現地の食事にあたってしまい、ひどく苦しんだ時がありました。
その際は通訳の方がいたので病院で治療を受けることができたのでなんとかなりましたが、非常に大変でした。
また、テロなどでなくても強盗などにも遭う危険があるので、日本と同じように夜道は歩けません。
このようなリスクも有るのが海外での仕事です。
「完ぺきにできて当たり前」と思われる
どんな仕事でもそうかも知れませんが、プラントエンジニアという仕事は
- 完ぺきにできて当たり前
と思われます。そのため失敗しようものなら報告書やら始末書やらを大量に書かせるくせに、成功してもそれが当たり前なので何もありません。
はっきり言って評価もされないし、給料もそれほど高くないし、その割には激務で社会的責任も大きく人の命を預かる立場でもあるという割りに合わない仕事であることはたしかです。
世の中にはいろいろな仕事がある合わないと思ったらやめるべき
もちろんプラントエンジニアという仕事は社会に必要な仕事です。
それに私の会社でもこの仕事を心から楽しんでいる人もいるのも確かです。
ですので、プラントエンジニアに興味がある人は是非やってみてください。世の中にはいろいろな仕事があります。合わないと思えばやめればいいだけです。
近頃は転職サイトも非常に多いですが”エンジニア”向けの転職プラットフォームはあるのに、”プラントエンジニア”に特化したものはありませんでした。その為、総合転職サイトで求人を探してもなかなか見つかりにくい状況ですよね?そこでおすすめなのが「プラント特区」です。”プラント業界専門の転職求人プラットフォーム”ですのできっとあなたに合った求人が見つかるはずです。
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